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魔術師にとって不利な世界で、俺は魔法を使い続ける
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今世紀序盤に、これからは人口が減る、という予測が出たのを綺麗に打ち破り大きく上昇した日本の人口数に比べればちっぽけなものではあるが、それにしても一介の遊戯に過ぎないゲームに対してここまで関心が高まったのは異常だ。かなり狭き門、これを潜り抜けられる者というだけで、『かなりの強運を持つ者』となる。
 淡い希望と呼べるかどうかも怪しい、儚い願望を抱きながら、俺は当選者一覧をじっくりとスクロールさせていた。
 あった。俺の名前だ。正真正銘、俺は当選した。
 こうして、購入権獲得欄の中に自分の名前を確認した俺は、望外の喜びに駆られ、不覚にもしばらく口を開く事が出来なかった。たかがゲームだ。しかし、それでも感動は大きかった。
 やはりサーバーへの負荷を気にしているのだろう、ログイン時間は自由だが、ゲームに参加できるまでは多少のタイムラグがあり、各自に公布された、数秒ほど間隔を設けたそれぞれの時間に、2,3人纏めて参加するとのこと。俺が参加するのは全プレイヤーの出現が大体半分ほど終わった所だ。
 そしてその刻は訪れた。
 数分前にドリンク類、部屋の空調調節など全ての準備を終え、万全の状態かつ何の力みも無い表情でパソコン画面を見つめる俺の姿は、客観から見ると逃げ出したくなる程の真剣な様子をしているだろう。それほどのゲーマー思考がある、と俺は確信している。だが、一度ハマってしまった物から抜け出すのは非常に困難であることを実践を通して知っている俺は、この部屋には他に誰もいない事で区切りをつけ、ディスプレイへと意識を集中させた。
 ログインまでの残り時間が30秒を切り、すぐに10秒からのカウントダウンが始まる。この数字に意識を傾けているだけでも、緊張感が走っているのが分かる。
 永久とも思えた10秒間が終わり、ようこそ!の文字が画面の中央に表示される。一刻も早くゲーム世界に飛び込みたかった俺は、普段別のゲームを始める時とは比べ物にならないほどの超高速、だいたい3分の1程の時間でキャラメイキングを済ませると、ログインボタンを押した。
 その瞬間、世界が暗転した。
 

 魂が切り離された感覚、とは言っても現在の人類には伝わらないだろうが、手足の感覚、脳の思考、五感の全てに至るまで、自らの全ての機能がシャットダウンされ、外部との連携が取れなくなった感覚、といってようやく伝わるだろう。
 数秒間全くの暗闇で満たされていた視界が、若干ではあるが明るくなってきた事に、俺は底知れぬ安心感を抱いた。
 その光が強くなってくると同時に、聴覚が人間の話声を捉えだした。
 そして、目を覚ました。
 不思議な事に、さっきまで椅子に座っていたはずなのに、二本の足がしっかりと大地を踏みしめている。瞳孔が遅まきながらも急速に収縮し、恐ろしく強い陽光を取り込む。
 その瞬間、
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