外伝〜帝都への帰還〜中篇
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」
「……こちらも承知しました。それとオリヴァルト皇子、私達の新たな子供の誕生の祝福をして頂きありがとうございます。皇子の言葉は妻にも伝えさせていただきます。」
オリビエの言葉を聞いたリウイとカシウスは頷いて答えた。
「なに、あの3人にしてもらった事を考えればそれくらい些細なことだよ。それにエステルくんとミントくん――”ファラ・サウリン”卿や”ルーハンス”卿には何か力になってもらいたい時の前払いの意味も込めている。だから、気にしないでくれたまえ。―――カシウスさんとリウイ陛下にも本当に色々とお世話になった。貴方達の協力がなかったらああも上手く帝国軍の師団を足止めできなかっただろう。」
「………俺達メンフィルは無用な争いは好まぬ。戦争の発展を望まないのはお互い様だろうだから気にする必要はない。」
「フフ……それはこちらの台詞ですよ。それに……もうお気づきかとは思いますがあの展開も想定の範囲内でしょう。かの”鉄血宰相”殿にとっては。」
オリビエの言葉を聞いたリウイは静かな表情で答え、カシウスは答えた後真剣な表情で言った。
「…………………」
「えっ…………」
「………そうでしょうね。実際、あの状況でリベールに攻め入るメリットはエレボニアはありませんでした。それも効率が悪いとされる蒸気戦車などの開発や同盟を結んでいるメンフィルがリベールの援軍としてリベールに攻め入ったエレボニア軍を駆逐、そして逆にエレボニアに攻め入るデメリットがあるとわかっていてまで。唯一、あるとすれば………」
カシウスの言葉を聞いたオリビエは目を伏せて黙り込み、クローゼは驚き、女王は真剣な表情で呟き、そして女王の言葉の続きをオリビエが答えた。
「……導力停止現象中も帝国軍が行動できるという事を諸外国に知らしめること。恐らくそれが真の狙いの筈。」
「あ………!」
「フン。”百日戦役”にて”導力”を持たない俺達に大敗をしておいて、よくそんな無駄な事を考えたな。……俺達に勝てる算段でもついたのというのか?」
オリビエの答えを聞いたクローゼは驚き、リウイは不愉快そうな表情で答えた後、考え込んだ。
「その通り……よくお気づきになった。”導力停止現象”というものは諸外国にとっては未知の現象です。今後、同じことが他の場所で起きるかもしれないし、二度と起きないかもしれない。」
「……実際、製造された蒸気戦車は少数だったそうです。ラインフォルト社の工房で通常の導力戦車の部品を流用して組み上げられたとか。」
「つまりそのノウハウは現状では帝国にしか存在しない。そしてこの不透明な状況で蒸気を使った効率の悪い兵器など導入できる余裕は”魔導”という未知なる力を扱うメンフィルという例外を除いてどの国にもない。――
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