第126話
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力して前に進もうとしていた。王国各地を巡って……あたしはそれをこの目で確かめた。別に進化しなくたって何とかやっていけると思わない?」
「……群れて生き延びるのは獣や虫ですらやっていることだ。その程度の行動をもって君は人の可能性を語るつもりかね?」
「別に同じでもいいじゃない。あたしたちだって生き物であるのは確かなんだし。それが生きているってことの強さなんじゃないかな?」
「なに……?」
「もちろん人は……それだけの存在じゃないと思う。そうした命の輝きを原動力に自分らしく生きて行こうとする……そんな存在だと思うの。でも、それはあんたの言うような万能超人である必要なんかなくて……みんなが、ちょっとした思いやりでお互い助け合うだけでいいんだと思う。」
「………………………………………」
「多分……”輝く環”を封印した人たちも同じ考えだったんじゃないかな?奇蹟に頼りきっちゃうことも良くないことかもしれないけど……それ以上に、人と人がお互い助け合う余地がなくなることが何よりも良くないことだって……」
「エステル……」
「エステルさん……」
「フッ………さすがはエステル君だ。その指摘……かなり的を得ていると思うよ?」
エステルの話を聞いていたアガットは口元に笑みを浮かべ、クローゼは微笑み、オリビエは感心してエステルを見つめた。
「クク……何を言うかと思えば助け合いか……。そのような事は、歴史を振り返ってから言いたまえ。例えば幾度となく繰り返されてきた戦争という名の巨大なシステム……。その狭間において、人の絆は無力な存在でしかなかっただろう?」
「―――そんなこと、ない!」
一方ワイスマンは嘲笑したが、エステルが大声で否定した!
「お母さんは戦火の中、命がけであたしを守ってくれた!そして聖女様とリフィアは戦火の中、お母さんの命を救ってしてくれた!その事がきっかけで、あたしは遊撃士の道を志してそして今……ここに立っている!この異変を止めて戦火を未然に防ぐために!それでも……人は無力だと言えるの!?」
「フン……。……ああ言えばこう言う……」
「もし、あなたが本気で人が無力だと信じてるのなら……。だから進化させる必要があるんだと思い込んでるなら……。だとしたら、あなたはとっても可哀想な人だと思う。」
「!!」
エステルの言葉を馬鹿にしたワイスマンだったが、エステルに哀れに思われ、顔色を変えた。
「だって信じ合って、助け合うことの喜びを知らないんだもの。あたしたちが……人が足掻いているのを見ることにしか喜びを見出せないなんて……。そんなの……寂しすぎるよ。」
そしてエステルは哀れみの目でワイスマンを見つめた。
「………………………………………」
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