第126話
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ない表情をした。
「確かに、王家の始祖たちは良くやったと言ってもいいだろう。―――しかし、考えてもみたまえ。その代償として、人は混沌の大地へと放り出され一からやり直すことになったのだ。そして今も、覇権を巡って飽くなき闘争を繰り返している……。果たしてそれは正しい選択だったのだろうか?」
「………それは………………」
「そして一方で人はオーブメントという技術を手に入れ、再び豊かな生活を享受し始めている。だが、今のままでは行き着く先は2つしかあり得ない。飽くなき快楽を求め、自ら律することも叶わぬまま世界を巻き込み滅びてゆくか……。もしくは古代人のように全てをシステムの管理に委ねることで家畜のような生を続けてゆくか……。物質的な破滅か、精神的な破滅か、どちらかしかあり得ないのだよ。」
「………………………………」
「それを防ぐためには、人自身が進化するしか道はない。―――いかなる誘惑、逆境にも揺らぐことのない絶対の理性!感情に囚われることなく、正しい答えを出せる究極の知性!その両者を兼ね備えた段階に人という種を導いてやること……。まさにそれこそが『福音計画』の最終目的なのだ!」
「こりゃまた、大きく出たねぇ……」
「……どうかしてるぜ……」
高々と叫んだワイスマンにオリビエは呆れ、アガットは蔑みの目線でワイスマンを見た。
「クク……そんな誇大妄想狂をみるような目で見ないでくれたまえ。人は想像を絶する事物に直面した時、畏れとともに変革を余儀なくされる生き物だ。その意味で”輝く環”はまさに格好の存在と言えるだろう。私はこの巨いなる至宝をもって人を正しい進化に導いて見せる……。それこそが”盟主”より授かった”使徒”としての使命なのだ!」
「はあ……。正直、余計なお世話なんですけど。」
「………………………………」
高々と説明をしていたワイスマンだったが、溜息を吐いたエステルの言葉を聞いて驚き、黙ってエステルを見た。
「―――いかなる誘惑、逆境にも揺らぐことのない絶対の理性?感情に囚われることなく、正しい答えを出せる究極の知性?そんなものにどんな価値があるっていうの?」
「……君は人の話を聞いていなかったようだね。物質的、もしくは精神的な破滅を避けるために人は進化するしか……」
呆れた表情のエステルの言葉を聞いたワイスマンは再度説明をしようとしたが
「そんな話をしてるんじゃないわ。あたしが言いたいのは……そんなご大層な存在になる前に出来る事があるんじゃないかってこと。」
「………………………………」
エステルの言葉を聞いて黙り込んだ。
「ヨシュアも言ってたけど……あたしたちは無力な存在じゃない。今回の異変にしたって、みんな最初は戸惑いながらも次第に協
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