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浮気の後のラーメン
3部分:第三章
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かなかった。自分が先だったからだ。
「行って来いよ、二人でな」
「じゃあ。行きましょう」
「はい」
 女の子は小百合の言葉に笑顔で頷く。小百合は席を立ち彼女の方に行ってその肩を抱いた。その時に夫の方を振り向いて言うのだった。
「御飯はラーメンでも作って食べて」
「ああ、わかったよ」
 夫が頷くのを見るとすぐに家を出てしまった。残った恒久は暫くテーブルに一人座っていたがやがてキッチンの方に向かってそのラーメンを作りだした。
 ラーメンができると丼には移さずそのまま食べた。その中で一人呟くのだった。
「お互い様ってやつだね、全く」
 不思議とラーメンはラーメンの味がした。こうした場合はよく味がしないと言われているが今回は違った。どうにも狐につままれた感じもするし妙な気分だった。それでもとりあえずはラーメンは美味かった。その味だけは今はわかった。



浮気の後のラーメン   完


                 2007・9・21

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