第121話
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ラザードに問いかけた。
「……ねえ、シェラザード。貴女にとって、座長はどんな人だったかしら?」
「そ、そんなの決まってるじゃない!孤児だったあたしを拾って育ててくれた恩人よ!あたしは両親の顔なんて全然知らないけど……お父さんってこういう感じなのかなってずっと思っていた……。……なのに……それなのにどうして……!」
ルシオラの問いかけに迷う事もなくシェラザードは答えた後、泣きそうな表情になったが
「そう……暖かくて優しい人だったわね。でもね、旅芸人の一座なんて優しいだけじゃやって行けないの。汚い取引をしたり、女の芸人に客を取らせたりするところもあるわ。でも座長は……あの人は一切そんなことをしなかった。そうして私財を使い果たして……莫大な借金を背負ってしまった。」
「う、うそ……!?だって座長、そんな素振りなんて全然……」
ルシオラの話を聞き、信じられない表情をした。
「フフ、人が良いくせにとても芯が強い人だったかしら。私たちに悟られないようあちこち資金繰りに奔走して……。……そして最後に一座を手放すことを決意した。」
「!!!」
「知り合いの裕福な貴族に一座を丸ごと預けようとしたの。自分がこのまま座長を続ければ私たちに苦労をかけることになる……。ならば、信頼のおける人に面倒を見てもらった方がいい……。……そう考えたみたいね。」
「そ、そんな、どうして……。相談してくれたらあたしたちだって協力して……!」
「話を打ち明けられた時は私も同じように説得したわ。でも、あの人は頑ななまでに聞き入れてくれなかった。不甲斐ない自分がいたら私たちのためにならない……そう思い込んでいたみたいだった。」
「………………………………。それが理由で…………姉さんは座長を……?」
真実を知ったシェラザードはしばしの間黙り込んだ後、静かに尋ねた。
「ええ、そうよ。私にとって、彼の決断は許しがたい裏切りでしかなかった。安らぎと幸せを与えておいてそれを取り上げるなんて……そんな事をするくらいなら最初から手を差し伸べて欲しくなかった。だから、私はあの人を殺したの。」
「………………………………。……だったら…………あたしはどうなるの?」
「え……?」
迷う事もなく答えたルシオラだったが、シェラザードの問いかけに驚いて呆けた声を出した。
「あたしは……座長と姉さんから安らぎを与えてもらったわ……。スラムで感じたことのない暖かい気持ちに満たされていた……。でも……座長が死んで…………姉さんまで去ってしまって……。そんなの…………もっと酷い裏切りじゃない!」
「……ふふ、そうね……。シェラザード。あなたは私を恨む権利がある。その恨みをもって立ち向かってくるといいわ。」
シ
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