4部分:第四章
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」
桜にまで言われて忌々しさを感じながらもそれでも外に出る。そうして学校の中庭のベンチに座ってそのお好み焼きを食べはじめる。横には校長先生がいて見事に大小になっていた。
「それではいよいよですね」
「はい」
既に箸を手に取っている。後は食べるだけであった。
実際に紙の皿の上に置かれたそれを小さく切って箸に取って口の中に入れる。まずソースにマヨネーズ、青海苔にかつおぶしの香りが口の中を支配する。そして次にお好み焼き自体の味が。先生が最初に食べたのは桜の大阪の方であった。その味はというと。
「おや」
「ほほう」
先生だけでなく校長先生も声をあげたのであった。楽しむ声であった。
「これはまた」
「美味いですね」
「はい。確かに」
校長先生は満面の笑顔で先生に述べるのだった。
「流石に。言うだけはありますね」
「こちらもです」
先生もまた言う。なお先生はまずは桜の大阪風を食べ校長先生は菜月の広島風だ。だがそれでもそれぞれ美味しいと言ったのである。
「これだけのお好み焼きとは」
「思いませんでしたね」
「これは赤坂の勝ちでしょうか」
先生はまず桜の方が勝ったと思った。彼女のお好み焼きを食べたうえで。
「これ程までとは」
「いえいえ、私はですね」
しかし校長先生は校長先生でまた違うことを言うのであった。
「青柳さんだと思いますよ」
「広島がですか」
「このお好み焼きは最高です」
それが校長先生の主張の根拠であった。
「ですから。これは」
「いや、待って下さい」
だがここで先生は言うのであった。
「赤坂のこの大阪風もですね」
「よいのですか」
「是非食べてみて下さい」
校長先生もその膝の上に桜の大阪風お好み焼きを置いている。だからこそ勧めるのであった。
「そうすればわかりますから」
「では袴田先生もですね」
「私もですか」
「そう。先生もですよ」
校長先生はその温和な顔で先生に話した。
「青柳さんの広島風を召し上がられてはどうでしょうか」
「青柳のをですか」
「さあ、どうぞ」
先生の膝の上にもまた菜月の広島風お好み焼きがある。校長先生と全く同じ状況だ。先程二人で同時に買ったものだ。だからこそ校長先生もまた言うのであった。
「そのお好み焼きを。是非」
「わかりました」
そして先生は校長先生のその言葉に頷くのであった。
「それでは。是非」
「まずは召し上がられてですね」
校長先生はまた述べた。
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