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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 14
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時点で、最悪の展開を確信する。

 指輪は紛失したんじゃない。
 何者かに奪い去られてしまったのだ、と。



 『誰が指輪を奪ったのか』

 アーレストに執務室へと押し込められてから、そればかりが頭を占める。

 海賊が隙を見て奪ったのなら、まだ良い。
 それならそれで、連絡の一つでも寄越しやがれ! と怒るだけで済む。
 昨晩は何者かに気絶させられてたし、あるいは拉致しようにも自警団員がうろついてて難しかったのかも知れないが、始終見張ってるなら方法なんていくらでもあった筈だ。
 指輪入手に(こだわ)ってシャムロックを放置とかなら。
 次に会った時は、最早殺人も(いと)うまい。
 我が身を棄ててでも全員成敗してやる。

 問題は、そうじゃなかった場合。
 たまたま偶然通りかかった泥棒の、行きずりの犯行だとしたら。
 失くなってから半日以上も経過した今、当たりの付けようがない。
 実物の指輪も、泥棒の外見も知らないのだから、後を追うのは絶望的だ。

 しかし、村の周辺にはシャムロックを見張る海賊が居る。
 指輪を隠した教会にも目を光らせていると考えて、まず間違いない。
 標的の横取りなんて、奴らが見逃さないだろう。

 ああ、そうだ。
 村には海賊の目がある。
 自警団とアーレストは微妙だが……
 バーデルの警備隊だって、国境沿いでネアウィック村を見据えてる。
 不審な動きをする人間は、あっという間に露見する状況。
 それでも、確かにあった筈の指輪は消えてしまった。

 この手際の良さ。
 仮に海賊の仕業じゃないとしたら、同業者の臭いが濃くなる。
 海賊とはまったく違う、指輪を追跡していた裏稼業の人間がいるとして、その人物による犯行だとすれば。
 こちらも追いかけるのは難しい。行きずりの泥棒と同じ程度には厄介だ。

 礼拝堂は荒らされてなかった。
 侵入の痕跡も、犯行予告も声明も無い。
 静寂と沈黙に守られた完璧な盗みは、暗躍型の特徴。
 誰も正体を知らない盗賊が相手ということになる。
 後を追いかけるなら、奪われた指輪の流通路を見つけだすか、盗賊の影を掴まなきゃいけない。
 どっちにしろ、半日以上が経過してたんじゃ、とっくに雲隠れしてる。
 お手上げだ。

 残り二日で、見も知らない指輪の流通路を探れる手段があるなら、誰でも良いから是非ともご教授願いたい。
 銀の台座に青くて丸い石を乗せた指輪なんて、同価値の類似品が世界中に何種類、どれだけ溢れてると思う?
 南方領だけ……いや、ネアウィック村の近辺だけでも、右を向いた瞬間、左にひょこっと現れるだろうな。
 たとえ全部を集めて一列に並べようと、どれが目当ての指輪なのか。
 そもそも現物を見てないミート
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