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お好み焼き
3部分:第三章
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のを見て楽しそうに言う。
「そろそろはじまるな。じゃあ俺も」
「おや、袴田先生」
 ここで温厚な顔の老人に声をかけられるのだった。
「貴方も参加されるのですね」
「あっ、校長」
 その老人はこの学校の校長先生だった。生徒からも教師からもその温厚な人柄で評判の人物である。当然PTAからも人気が高い。所謂いい先生である。
「先生も」
「ええ、まあ」
 ちらりと屋台の方を見つつ校長先生に答える先生だった。
「言いだしっぺですしね、私が」
「いい案だと思いますよ」
 校長先生はその温厚な笑みで先生に対して述べた。
「やはり。食べ物の言い争いはその食べ物で解決するのは一番ですから」
「だからですか」
「はい。それにです」
 見れば校長先生にしろその視線はじっと二つの屋台の方に向けられている。そこから離れるところがないのがみそであった。
「私も。楽しみにしています」
「校長もですか」
「実は。お好み焼きが大好きでして」
 温和でかつにこやかな笑みを浮かべて述べる校長先生であった。
「私もまた」
「左様ですか。ではどちらを?」
「それは断定できません」
 今度はそれぞれの屋台を見ての言葉であった。
「それに関しましては。実際に食べてみないと」
「そういうことですか。それでは」
「はい」8
 早速一歩前に出る校長先生であった。
「少し。確かめてきます」
「そうですな。では私も」
 この先生もまた校長先生に続いて屋台に向かう。屋台の前に来るともう行列になっていた。そこに並ぼうとすると早速生徒達が彼を見て言うのであった。
「げっ、ゴリラブタじゃねえか」
「何しに来たんだよ」
「まさか食いに来たのかよ」
「また太るぜ、あいつ」
「聞こえてるぞ、こら」
 いつもの如く無茶苦茶言われたので言葉を怒らせる先生であった。
「俺が太ろうがどうなろうが勝手だろうが。違うか?」
「けれど先生って糖尿ですよね」
「あれ、痛風じゃなかったか?」
「俺高血圧って聞いたぜ」
 どれにしろ聞きたくもない不吉な名前の病気ばかりであった。確かに大人になればこういった病気のことが気になったりするものだ。しかし彼等の言葉はこれまた実に無遠慮でありしかも先生の神経を逆撫でするのに充分過ぎる程のものであったのであった。
 そして先生はそれを聞いて。やはりいつものように言うのであった。最早この学校ではお約束ともなっている話の流れであった。
「どれにもなっとらんわ」
「あれっ、そうなんですか」
「成人病じゃないんですか」
「そこには気をつけているわ」
 これは本当のことである。太っているから余計にであった。
「かみさんに言われてな。ちゃんとしているぞ」
「げっ、先生結婚していたんですか!?」
「嘘でしょ、それ」
「嘘
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