暁 〜小説投稿サイト〜
宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第二部
狩るということ
じゅうきゅう
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たらない物もあり、これは剣を抜くことも叶わずに、持ち主が死亡したことを容易に連想させる。そのどれもこれもが、数日前の惨状を思い起こさせるものであった。

 その刀剣達の有り様は生々しさを語っており、言葉を無くすほどのショックを受けても致し方ない。

 なんと声を掛けようかと振り向いた私の目に映った彼女は、いまだ部屋には入らずにいた。

「これが船なんだ。……わっ、すごい堅い! 鉄じゃないよね、やっぱり」
「……」
「壁だと思ってたこれ、扉だったんだ……」

 壁面を軽く叩き、拳に伝わる感触で何やら強度を確かめている。

「……」

 挙げ句の果てにはロックの解除を行うディスプレイを弄りだしたようだ。
 ビッビッビッと音が鳴る度、「わっ!」やら、「光ってる!」やらと、喜色を孕んだ叫びが聞こえてくるではないか。
 仕舞いには出鱈目に入力を繰り返したため、エラー音を鳴らしてゲートが閉まっていくその向こう。

「すごいっ! 壁が動いた!」

 輝かせた瞳を私に一瞥もくれることなく、閉まり行くゲートを最後まで見詰め続けていた。

……やるか。脊髄ごと。







 コンピューターガントレットを操作し、セキュリティにロックが掛かったゲートのパスを再設定し直した私は、仁王立ちでゲートを開ける。

「すごいです! これが船ブッ!」

 最後まで言わせることなく、私は彼女の顔面を鷲掴みにする。

 所謂、アイアンクローというやつだ。

 そのまま持ち上げ、移動。

「ぐぶじぃごぶばぼ」と、足をプラプラさせながら唸っているが、私の関知するところではない。

 私の胸は張り裂けそうなのだからっ!

 束ねて置いてあるロングソードの側まで持ち運び、そこで手を離すと、よろけながらも彼女は見事に着地する。

「鬼ですか、あなたはっ!」

 貴様は悪魔か。

 毒吐きは心の中で止め、私は顎をしゃくって床のそれを指す。
 どこか納得いかない装いの彼女だったが、床にあるそれを認めて表情を変える。

 まあ、それが普通の反応だろう。

「貴様のいまいる部屋に移動させる」
「はい……。ありがとうございます」

 片手でロングソードの束を持ち上げ、私達は部屋を後にする。
 トボトボと下を向いて後ろをついてくる彼女は、「力持ちですね」と、いまにも泣きそうな声を出す。
 私はそれに対し、気の利く言葉を掛けることなく「そうだな」と、素っ気なく返すことしかできなかった。

 自らの力で乗り越えるしかないのだから。







 その翌日、彼女は私を呼び出すと、開口一番にこう言い放つ。

「私1人だと持っていけないので、一緒に運んで貰ってもいいですか?」

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