Friend
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の方は...っておや?」
リアが振り向くと先まで居たもう一人の女性の姿はいつの間にかどこかへ消えていた。
というのもリアに近づいていく俺に気づくやいなやその人影はまるで脱兎のごとくその場を大急ぎで離れていったのだから。いや、見事な逃げ足だったよ。表情や顔立ちはまるで見えなかったけど、俺のことを怪物かなにかと思っているようなくらい速く駆けていったからな。
「つい先ほどまでは居たんですけど、急用でもできたのでしょうか。...不覚でした、フレンド交換しておけば良かった。そうすればメッセージを送れたのですが」
「まあそのうち何処かで会えるだろう。それで、フィールドってどうやって行くんだ?」
「そうですね、ではついてきてください。戦闘指南をしてあげましょう」
それから、と言いながらリアは両手を腰にあて少し怒っているかのように眉を上げながら綺麗な佇まいでこちらを見つめてきた。
この短いやりとりの間になにか怒らせるようなことをしたかな。それともまだVR酔いでログアウトしたことを怒っているのだろうか。
俺はリアの説教に入りそうな姿勢に色んな意味でドキドキしながら一歩後ずさりした。
「ここでの私の名前はレーアです!仮想世界の中で本名言うなんて信じられません」
「レーア?」
「そうです。あなたもアカウントを作るときに名前を入力したでしょう」
「そういえば、」
入れたなぁと自分のこの世界での名前をHPゲージの横にあるローマ字表記の文字に視線を移す。
「Tomo」と書かれている文字はこの仮想世界での俺の名前。
__________と同時に俺の現実での名前でもある。
「・・・あー、俺はそのまんま英字に変えるだけにした」
「・・・な、」
そんな愚か者がいるみたいな表情で見ないでくれよ。
「い、今は個人情報を辿って個人を特定することができる時代ですよ?」
「その分、セキュリティも厳重にされてるだろ?」
「だから、名前まで入れたら特定される可能性が高くなるといっているのです!」
軽くたかをくくって心配もしてない態度の俺に対し、リアもといレーアの腰に当てていた手は固く握り締められ、両腕をピンと真下に伸ばされて震えながら怒り肩になる。
怒りを露わにしてる姿はまるで威嚇する猫のようなもので見た目は可愛らしいのだが、このやり取りに慣れている俺からするとこれから説教を受けることになるのはわかっているので心中おだやかじゃない。
「だ、だけど何も問題起きなければいいんじゃないのか?SNSだって本名でやっている人もいるし」
「それは、そうですが...」
「心配してくれてるのはわかるけど俺から問題起こさなければ大丈夫だって、な?」
「心配しているわけでもなくはないですが...。・・・はぁ、
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