第109話(8章終了)
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込んだ後、重々しい様子を纏わせてオリビエを見た。
「フフ、そのまさかだ。10年前に頭角を現して帝国政府の中心人物となった軍部出身の政治家……。帝国全土に鉄道網を敷き、幾つもの自治州を武力併合した冷血にして大胆不敵な改革者。帝国に巣食うあの怪物をボクは退治することに決めた。今度の一件はその宣戦布告というわけだ。」
「……何ということを。皇子、それがどれほど困難を伴うことであるのか理解しておいでなのか?」
「そりゃあ勿論。政府は勿論、軍の7割が彼の傘下にあると言っていい。先生みたいな中立者を除けば反対勢力は衰え始めた諸侯のみ。さらにタチが悪いことに父上の信頼も篤いときている。まさに”怪物”というべき人物さ。」
ゼクスに尋ねられたオリビエは疲れた表情で答えた。
「ならばなぜ……!」
「フッ、決まっている。彼のやり方が美しくないからさ。」
「!?」
オリビエの答えを知ったゼクスは驚いた。
「リベールを旅していてボクはその確信を強くした。人は、国は、その気になればいくらでも誇り高くあれる。そしてボクの祖国と同胞にも同じように誇り高くあってほしい。できれば先生にもその理想に協力して欲しいんだ。」
「………………………………。……皇子。大きくなられましたな。」
オリビエの話を聞いたゼクスは黙り込んだ後、静かに答えた。
「フッ、男子三日会わざれば括目して見よ、とも言うからね。ましてや先生に教わった武術と兵法を教わっていた時から7年も過ぎた。少しは成長したということさ。」
「フフ……そうですな。……撤退に関しては了解しました。ただし、我が第3師団はあくまで先駆けでしかありませぬ。すでに帝都では、宰相閣下によって10個師団が集結しつつあります。今日を入れて3日……それ以上の猶予はありますまい。……それに恐らくメンフィルも黙ってはいますまい。」
「ああ……心得た。」
「ミュラー。お前も皇子に付いて行け。危なくなったら首根っこを掴んででも連れて帰るのだぞ。」
「ええ、元よりそのつもりです。」
ミュラーの答えを聞いたゼクスは振り返り、エレボニア兵達に指示した。
「全軍撤退!これより第3師団は、パルム市郊外まで移動する!」
「イエス・サー!」
「やれやれ……。これで少しばかり時間は稼げたか。それにしてもホント、ボクって信用ないんだねぇ。」
撤退していくエレボニア軍を見守っているオリビエは溜息を吐いた。
「……当たり前だ、阿呆。正直、ここまで大げさにやらかすとは思わなかったぞ。しかもメンフィルまでも巻き込んで………」
「どうせやるなら派手な方がいいしね〜。それに君だって律儀に準備を進めてくれただろう?言わば、甘い蜜を吸い合っ
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