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我が子
5部分:第五章
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「俺ずっと考えていたんだよ、それをな」
「ああ、それだったのね」
 喧嘩の前に何を考えていたのか尋ねたのを覚えている。それがどうしてか今までわからなかったがそれがやっとわかった。わかってまずは納得した顔で頷くのだった。
「それで考えていたの」
「ああ、思い出したんだよ」
 京介は歩美に対して答える。
「それであれこれ悩んでいたんだよ」
「そういえばまだ名前決めていなかったわね」
 歩美もそれに気付く。
「何だかんだで」
「喧嘩ばかりしてるからそうなるのよ」
 ここで良美の剣呑な言葉が炸裂した。しかも二人に対して。
「全く。何をやってるのよ」
「まあまあ」
 叱る彼女を有人が宥める。
「そんなに言わなくてもいいじゃない。今はお祝いの場所だし」
「そうね。それじゃあ」
 あらためて二人に顔を向けて問うてきた。
「名前、何するつもりなの?」
「あっ、ああ」
「まずは座りなさい」
 立ったままの京介に対して言う。
「立ったまま食べるつもりじゃないわよね」
「そうでした。すいません」
「まずは座ってね」
「はい」
 こうしてまずは京介を座らせた。そのうえで話を再開させる。彼等はお互いに飲み食いをしながら話すのだった。まずは良美がもう一度尋ねてきた。
「それで。名前は決めたの?」
「それがねえ」
「まだなんです」
 二人で良美に対して答えた。
「男の子ばかりだからそういう名前にはなるんだけれど」
「かえってあれこれ考えているうちにわからなくなったんです」
「あれこれってどんな名前に?」
「まず考えたのが空海と最澄なんです」
「子供二人共お坊さんね」
 すぐに京介に言葉を返す。
「学校で笑われるから止めなさいよ」
「ちぇっ、如何にも頭がよくなる名前なのにな」
「ほか見なさい」
 歩美が駄目出しされて苦い顔になる京介にクールながらそこに誇らしげなものを見せた顔で言った。そのうえで彼女は言うのだった。
「私も考えたのよね」
「どんな名前なの?」
「乳遁と我露亜」
「数学者の名前かしら」
「いい名前でしょ」
「完全に大昔の暴走族ね」
 呆れ果てた顔で妹の案に対して述べる。
「頭が悪そうで泣けてくるわ」
「あれっ、いい名前じゃない」
「日本人の名前にしなさい」
 そういうことだった。
「そんなセンスのない名前。却下よ」
「何よ、頭がよくなる名前よ」
 口を尖らせて姉に抗議する。
「それでどうして駄目なのよ」
「見ろ、言った通りだろうが」
 咎める顔で歩美を見て言う京介だった。
「だからそんな馬鹿みてえな名前止めろって言ってるだろ」
「じゃあ星矢と麟童はどうなのよ」
「翼と岬は?」
「あんた達、本気っていうか正気なの?」
 今度は漫画の名前だった。良美はそ
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