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緋弾のアリア-諧調の担い手-
第五話
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、厄介事には遭遇する、今日は色々ついてない。

……確か、今日の朝の占いでは一位だった筈だ。

けれど、文句は言えない。
その選択を選んだのは紛れもない、自分自身なのだ。

あの選択は、自身の身を危険に晒す事であった事は重々承知している。
お母さん達に知られれば、きっと大いに怒られる事だろう。軽率だと。

けれど、あそこで誰かが時間稼ぎをしていなければ、被害は都心部に向いたかも知れない。
…俺の大切な人達が巻き込まれたかも知れない。

そう考えただけで。
俺にとっては天秤に掛けるまでもなく、どちらが大切か等、既に解り切っていた事だった。


「……大分、遅くなったな」


結局、家から一番近い所のコンビニで皆が食べる、当たり障りのないアイスを購入した。
腕に触れるアイスの袋。それが身体を通して熱くなった思考を冷まして行く。


「……ふぅ、皆心配してるかな」


家の正門にまで辿り着き、門を開いて潜る。家の扉を開いて、そして玄関へと入る。
すると、リビングの扉を蹴破る様に一筋のマナの閃光が奔る。

―――それは一直線に俺へと向かって。


「―――時夜ぁ!」

「…カナか、ただ、い―――」


俺へと、まるで弾丸の様に迫る存在を認識する。
認識して、声を上げるが、言い切る前に少女に力強く抱き締められた。
思わず、袋を取り落としそうになった。


「時夜!…大丈夫?皆、心配していたのよ?」


恐らくは、港区の倉庫街で起きた事件の事で心配しているのだろう。
爆発の音はかなりの音響で、隣接している地域に届いた筈だ。

此処もあそこから離れているが、まだ近い位置にある。
俺が帰ってくる時間が遅かった事、それも影響しているだろう。


「…ああ、ごめんね、心配を掛けた様で」


抱き締めてくる彼女の顔を覗き見て、仄かに微笑む。
頭を撫で、優しく抱き締めて、落ち着かせる。


「…大丈夫だよ。ちょっとコンビニ先で友達と会って、遅れたのは彼女を送ってきたからだから」

「……彼女?」

「ああ、学校の学友だよ。幼稚園らいの付き合いだ。…と言うか、気になる所か?」


…嘘を吐いた。誤魔化した、其処に後ろめたいと思う事はある。
けれど、全部が全部嘘ではない。半分は言葉にしたその通りだ。

「時夜、おかえりなさい。…心配しましたよ」

「…お母さん。ゴメンなさい、そしてただいま」


俺と抱き合うカナ。
それを微笑ましそうに見ていた母親と目が合う。その瞳に灯る色は本当に俺を心配している。


「…本当に、本当に心配していたのですよ?携帯に連絡しても繋がらないですし」

「…心配掛けてゴメンね。携帯は家に忘れていっち
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