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緋弾のアリア-諧調の担い手-
夏休みU
第三話
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間を駆けて、男の背後へと潜り込む。
そうしてお返しと言わんばかりに、マナで身体強化した蹴りを背後から叩き込む。

まるでギャグ漫画の様に二転、三転と男の身体が地面を転がる。
だが、男は三転目で見事に地面へと着地して見せた。


「いったた、やりますね。今のは少し痛かったですよぉ」


そうは言ったものの、目立った外傷は見当たらない。
恐らくは法衣に何かしらの術式を施している。精々男の着衣に汚れが付着した程度だ。


「…一つ聞きたい。お前は、今東京で起こっている連続襲撃事件に関わっているか?」


答えが聞けるとは思ってはいない。

だが、男の姿は那月から教えられた襲撃犯の姿と酷似している。
更には、連れたっている少女の存在が既に犯人だと証明している様なものだ。

「ええ、それは私達の事ですね。ちょっとした目的がありましてね」


そうして退魔師、クライス・フールドスはあっさりと肯定の意を示した。


「その為に礎となって下さいよぉ。君も中々に美味しそうだ…やりなさい、エーリゲネーア」


退魔師が背後へと跳躍する。
彼の代わりに時夜の前に飛び出してきたのは、病院服を纏った少女であった。


「命令受諾。執行せよ、黎明の羽根」


その冷淡に告げられた言葉に呼応し、ソレは姿を現す。
少女の病院服を突き破って現れたのは、巨大な片翼。

それは虹色の輝きを放ちながら、時夜を襲う。
時夜はこれを時切で迎撃。強大な魔力同士の激突に、大気が甲高い音を立てる。


「ぐっ!」

「ああっ…!」


辛うじて激突に勝ったのは時夜であった。眷獣を時切の刃が引き裂いていく。
眷獣の受けたダメージが逆流しているのか、エーリゲネーアと呼ばれた少女が弱々しく苦悶の息を上げる。

―――そして。

少女が絶叫した。
彼女の細い背中を引き裂く様にして、もう一本の翼が現れる。

眷獣が二体、という訳ではなく、左右一対で一つの眷獣なのだろう。
しかしそれは、独立した別の生き物の様に、腕の様に、頭上から時夜を襲ってくる。


『プチ・タイムアクセラレイト』


時属性の神剣魔法。
自身の時間が急速に加速し、停滞したと錯覚した時間の中を駆け抜ける。
そうして、腕の攻撃範囲内から逃れる。


『時夜、到着まで残り一分弱です』


頭の中でイリスの声が響く。後一分、逃げ切れば俺の勝ちだ。
背後の吸血鬼の男を担ぎ、雑居ビルの屋上に飛び乗る。

それと同時に、加速していた時間が現実に引き戻される。


「……おやぁ、いつの間にそんな所に、追いかけっこがしたいんですかぁ?」


そう法衣の男が口にし、人工生命体の名を呼ぶ。
そうして、藍色の
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