第二話
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行う事は出来ないのだ。
それが出来るのは思い当たるだけで、時属性の上位神剣を保有するお母さん。
そして、空間系統に強い月姉位だろう。
街の中心部へと駆けて、イリスの示した光点の位置が徐々に近づいてくる。
そうして、俺は使役者たる存在を目視する事ができた。
ビルの屋上に立って眷獣を操っているのは、上品な背広に身を包んだ長身の吸血鬼であった。
年齢は二十代前後に見えるが。
このマナの凄まじさを見る限り、おそらくはその数倍以上の刻を生きているに違いない。
吸血鬼の中でも年月を重ねた“旧き世代”の名に相応しい、圧倒的な存在感と威圧感である。
アクア・エデンの企業の幹部社員か、あるいは雇われた傭兵か。いずれにせよ、相当な大物だろう
東京湾上に浮かぶ大型人口浮島アクア・エデン。
表向きには海上都市として合法カジノや風俗街の立ち並ぶ観光地だが。
その裏の顔は魔族達が人と共存する日本唯一の魔族特区だ。
だが、そんな異形であり、超常の存在が攻撃を繰り返しているのに関わらずだ。
一向に戦闘は終わる気配を見せない。
それどころか男の顔には、くっきりとした焦りと疲労の色が浮かんでいた。
「―――…あれは」
闇夜を切り裂いて伸びた閃光に気づいて、時夜は困惑の声を出した。
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