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緋弾のアリア-諧調の担い手-
第二話
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戦闘が開始されてから10分が過ぎた頃か。
戦場に介入していないとはいえ、武偵がいるのだから然るべき機関に連絡を着けているだろう。


『―――半径20km以内に高マナ反応が複数あります。到来まで後14分弱と言った所です』


それを耳にして、視線を上空へと向ける。おそらくは高位術者と思しき者達だろう。
上空に飛翔する戦闘中の眷獣の姿は、まるでワタリガラスに似た漆黒の妖鳥であった。

翼長は余裕で10メートルを超えている。

闇を固めた様な巨体。
時折、溶岩に似た琥珀色に輝き、吐き出す火球が周囲に凄まじい爆発を巻き起こす。

既に俺は臨戦態勢に移項し、オーラフォトンで形成された刃と時切を両手に携える。
ぎゅっと、その剣を握る手に自然と力が入る。

……俺は仮にも、今からアレと戦闘行動を交える事になるかもしれない。
そう思うと、引き締めた筈の意識が更に引き締められる。

足止め程度でいい。俺が出来るのはそこまでだ。後は、専門者が出てきてやってくれる事だろう。
俺は仮にも一般人で通っている為に、こういった行動は本来は避けるべきだ。

故に、術者の到着寸前にこの場を離脱する。
到着までの間、少しだけ気を引き付ければ良い。それが最優先事項だ。


「…………」


街の中心部に差し掛かった所で、俺は一度脚を止める。
そうして、瞳を閉ざして、詠う様に言葉を紡ぐ。


「…紡がれる言葉、そしてマナの振動すら凍結させよ―――」


言葉を発する度に、周囲に淡白い光が集い、それが徐々に光を増して広がっていく。
その光はやがて、倉庫街全域に拡散していく。微々たる冷気が灼熱の世界に灯る。

真紅に炎に照らし出された街を、世界を、真逆の青が染めていく。
此処には居ない、諧調の権能を一時的に引き出す。


「―――アイスバニッシャーッ!」


その発言を引き金に、淡白い多大なマナが爆発する様に世界に放たれる。
炎で熱く燃え滾る街を、絶対零度の氷が炎ごと街全体を覆い尽くし、凍結させる。

まるで、時間すらも凍結した様な錯覚に陥る。そして数瞬。

街全体を覆っていた氷が罅割れ、マナの粒子に還ってゆく。そうして、炎は街から姿を消した。
見渡す街並みは、炎が巻き散らかされる前の姿をかろうじて保っていた。


『時夜、とりあえず倉庫街全体に広がっていた炎は沈静化されました』

「……うん、なら応急処置的なものはこれでいいかな」


白い息を吐き、イリスの状況報告に頷く。

これで、元凶を排除してしまえれば、ほぼ問題はないだろう。
流石に焼け落ちてしまった施設の復元までは諧調がいないと、俺一人では出来ない。

時切も時間の微々たる管理は出来るものの、時の逆行等は
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