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緋弾のアリア-諧調の担い手-
夏休みU
第一話
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たと、溜息を吐いて言っていた。
正に、この親にしてこの子ありとはよく言ったものだ。


「…本当、何もなければいいのですけど」


時深は時夜に対しては、親バカとも言える程に過保護。
それだけに、息子の身を案じているという事でもあるけれど

その為に、不安そうな口調で時深はそう答える。


「……そうだといいのですけど」


未だに不安の消えない胸元に手を置く。…その刹那。


「―――きゃっ!?」

「…大丈夫ですか、カナちゃん!」


思わず、体がバランスを崩して倒れそうになる。

地面が不意に揺れた。それに続く様に、爆発音が響き渡る。
荒れ狂うマナの波動が地肌に直接伝わってくる。

ここより、南の位置。台場の港区辺り。
空を焦がす様に真っ赤な火炎が覗き見えた。


(………時夜)


不安は途絶えず、私は心の中で彼の無事を願った。







2









「……やはりは、蝙蝠の眷獣か」

『この濃密なマナ…推測しても“旧き世代”相当でしょう』


空がまるで夕焼けの様に、眩い程の炎で炙る様に赤く染まっている。
嵐の様な暴風に、髪が無造作にかき乱される。

立て続けに起きる轟音。
地肌にひしひしと突き刺す様に、荒れ狂うマナが伝わってくるのを時夜は感じていた。

海は時化て、海面を激しく波打っている。遠くの東京湾上には大型人工浮島こと海上都市“アクア・エデン”。
それが、その存在を主張するかの様に光輝いて存在している。

台場にある高層ビルの一つ。そこに降り立ち、俺は事態を見守っていた。
念の為、姿を偽装するのにフード付きの外套を目深に被っている。

更には永遠存在の自身に対しての概念操作を使い、外見年齢を十代半ば程にする。


「……はぁ」

『…どうしました、時夜?』

「いや、なんでもないよ」


俺は自身の成長した姿に嘆息する。この姿はあまり好きになれない。
中性的であった顔立ちは更に女性っぽくなり、体も年頃にしては女の子の様に線が細い。

髪も腰ほどまで伸びて、その面影は母親である時深そっくりだ。
変身前の姿でさえ学校では“男の娘”などと言われているのに…。

将来の姿に激しく絶望する。
一応自分の事だが、見て呉れだけは美人というカテゴリーに入るだろう。

どうせなら普通でいいから男っぽい容姿に生まれたかったなぁ…。

そう心の中で溜息を洩らす。
だが、容姿ばかりはもうどうしようもない、生まれついたものだからだ。

憂鬱な気分になっていて見落としそうだったが…。
爆発の炎を浴びて、漆黒の妖鳥の姿が空へと浮かび上がる。

見えたのは一瞬だが、時
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