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我が子
3部分:第三章
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のよ」
「いい仇名だろうが」
「そう思ってるのは宇宙であんただけよ」
「何っ、宇宙だと!?」
「そう、宇宙一の馬鹿よ」
 はっきりと言い切ってみせた。
「あんたはね」
「じゃあ御前は宇宙一のアホ女だ」
「アホ女!?」
「アホじゃなかったら何だ」
 ムキになってまた言い返す。
「トンマか!?」
「トンマ!?よくもまあ」
 歩美もまたムキになっていた。
「言ってくれるわね。この無敵才媛を」
「何度でも言ってやる。俺を馬鹿なんて言う奴はな!」
「言わせておけば!」
「許さん!」
 こう言い合っていると。何時の間にか側に見慣れない背の高い美人がいた。目はかなりきつくて身体つきはプロポーションこそいいが肩ががっしりとしていて筋肉質である。黒い髪をソバージュにして青いアイシャドーをしている。赤いタイトのミニと黒いストッキングがよく似合っている。白いセーターからははっきりと胸の形が浮き出ている。はっきりとした目元がかなり印象的である。二人はその彼女を見て動きを凍らせてしまった。
「ね、義姉さん」
「お姉ちゃん」
「全く。いつもいつも」
 何と彼女が歩美の姉だった。何故かいきなりここに出て来たのである。
「喧嘩ばかりして、しかも途中から言っている意味がわからなかったわよ」
「あれ、そうか?」
「わかるわよね」
 二人は顔を見合わせて言い合う。自覚はないのだった。
「何を話しているのか」
「カレーだの哲学だのね」
「あれでわかれっていう方が無理よ」
 美女は口を尖らせて二人に抗議するのだった。
「カオスな喧嘩ばかりして」
「カオスじゃないですよ義姉さん」
「コスモよお姉ちゃん」
 二人はこう言うのだった。
「それがどうしてカオスなんだか」
「わからないわよ」
「わかるようにするにはもっと真っ当な喧嘩をしなさい」
 その二人を叱って言う。
「最初から滅茶苦茶だったじゃないの」
「最初から!?」
 歩美はやっとその言葉に気付いたのだった。
「お姉ちゃん、今最初からって言ってたわよね」
「ええ、そうよ」
 美女は妹に対してきっぱりと答えた。
「さっき言ってたじゃない」
「じゃあ良美義姉さん」
 京介もここで気付いた。
「最初からここにいたんですか」
「そうよ、迎えに来たのよ」
 その美女良美はまたしてもはっきりと答えてみせた。
「あんた達をね」
「迎えにってどうしてよ」
「俺達子供じゃないですよ」
「子供じゃなくても頭はあれでしょ」
 彼女は二人に対してこう言った。お互いで言い合うのとはまた意味が違っていた。

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