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緋弾のアリア-諧調の担い手-
夏休みT
第三話
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灯の切れ掛かり点滅する、そこに立っていたのは、聖職者の様な法衣を纏った男であった。
肩口で切り揃えられた、暗闇でも淡く光る金髪の外国人だ。

身長は約180cm頃、年齢は二十代前半といった所だろう。
男の右手に握られているのは月光に光る金属製のステッキ。


「…ッ…貴様は!」


武偵の一人が男の姿を見て、強く叫ぶ。
神父の法衣を纏った男性、その顔には見覚えがあった。

つい最近、日本に密入国したイタリア人だ。
そして公にはなっていないが、ここ最近起こっている連続襲撃事件の重要参考人。

被害に合った者は今の所目を覚ましていない。中には腕利きの武偵も含まれていた筈。
同僚からも被害者が出ている。元ローマ聖教会所属の退魔師。それがこの男の肩書だ。


「…おや、私を御存じで?まあいいです…遊んで下さい、この“私達”とねぇ」


薄い笑みを浮かべ、おどけた様な仕草と口調で神父はそう語る。
少女を庇う様に、二人は愛用の武装を構える。

一人はホルスターより、自身の愛銃であるベレッタ90Twoを。
もう一人は業物と思える日本刀を抜き放つ。

日本刀を携えた男が地面を蹴り、肉体が爆発したかの様に地面を蹴って、加速した。
無防備に立つ男の身体へと加速した刀身を峰で殴り付ける。

だが、その剣は攻撃の途中で“何か”に弾かれた。不意に、武偵の動きが止まる。


「―――がっ!」


切れ掛かりの照明がその何かを照らし出す。
それは極細のワイヤーであった。男達の衣服にも織り込まれている極細繊維だ。

それは男の首元にも抉り込んでおり、後少しでも動けばポトリと首が落ちるだろう。
細やかに、鮮やかな血が地面へと落ちる。

それを見て取ったもう一人の武偵の男から炎が迸る。
銃を持つ手とは逆の手をワイヤーに向け、炎を穿つ。超偵である男の炎熱操作だ。

それは歪な馬の形をとって、ワイヤーを焼き切り、意思を持つかの様に法衣の男へと迫った。


「なに…っ!?」


全く予想しなかったその光景に、能力者の男が目を?いた。
法衣の男の前に見えない壁の様なものが出現し、襲い来る炎を防いでいる。

その脇には何時の間にか、背後にいた少女が存在していた。
奇妙な結界を張り、彼を守っているのだ。

その結界に阻まれて、炎は男に届かない。
しかし少女の防御結界にも、炎を完全に跳ね退ける程の力はないようだ。

ぶつかり合う壁と炎の圧力が、大気をギシギシと軋ませる。
やがて激突の負荷に耐えかねた様に、少女の唇から弱々しい吐息が洩れた。


「この程度の力も完全には無力化出来ませんか。やはりまだ改良の余地がありますねぇ」


溜息を大仰に吐き、意味不明な事を呟く法衣の男
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