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緋弾のアリア-諧調の担い手-
旧世界にて
巡り廻り
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青信号で皆が信号を渡ろうとした時、突如としてクラクションが世界へと響いた。
何事かと周囲を見回すと、信号無視をした大型トラックが突っ込んで来たのだ。

皆はそれに気付いて、交差点から離れる。
けれど、トラックの進入を知らぬ幼い子供がトラックの真ん前にまで出る。

―――不味いですッ!!

まだ子供とトラックの間には距離があるが、この場で即座に移動して子供を救出する事が出来る人間は存在しない。

悲鳴や怒声に満ちた場の中を私は即座に魔導端末を起動した。


「―――レインっ!!」


愛機の名を呼び、身体強化の術式を施して、人を掻き分けながら弾丸の様に走り抜ける。
即座に子供の元にまで移動、その身を確保する。

そうして踵を反して、素早く交差点まで戻る。
そう、そこまでならば良かった。

子供の母親が事態を察知して、十字路に飛び出してきたのだ。
母親とトラックの距離はほんの僅かしかない。

私は子供を近くの人に預けて、再び駆け出す。


「…何とか、間に合いましたか!!」


何とか間に合った!!
女性を連れて、再び戻ろうとするが―――


(…身体が、動かない?!)


異変が起きた。
まるで、重力に引かれるかの様にその場から動じる事が出来ない。

私は動く魔力強化した右手で、女性を人波の方に押し出す。
人がクッションになり、女性の身に怪我はないようだ。


『お嬢様、早く逃げて下さいッ!!』


それを眺めていると、愛機の叫び声が響いた。
魔力障壁を張る時間も最早ない。トラックはもう目の前に迫っているのだ。






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意識を失っていた。
それは一体どれだけの時間であっただろうか。

開かれた瞳で周囲を見回す。視界は良好とは言えない、左目が霞んで微かに見える。
右目はブラックアウトしていて完全に視る事が出来ない。

身体は、左腕が辛うじて動く。
痛覚器官が麻痺しているのか、痛みはさほど感じない。

バリアジャケットを纏っていないこの身は易々と跳ね飛ばされたらしい。

首を動かせば、血濡れた私の身体が映った。純白のワンピースが血染めに染まっている。
……実感する。

―――ああ、私……死んじゃうんだ。

……死というモノを。それが間近に迫って来ているのを。

意識が再び遠退いて行く。

―――出来れば、最後にキーさんに会いたかったなぁ…。

けたたましい騒音が、意識の外側から聞こえてくる。そして、壊れかけの機械音を。
それを聞き取りながら、私の意識はそこで完全に途切れた。






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この日、奇しくにも二人の少年
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