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緋弾のアリア-諧調の担い手-
旧世界にて
巡り廻り
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1







車両を降りた少女の背後で、空気の抜ける音と共に扉が閉まった。
振動を残し、三両編成の電車が駅舎を後にする。吹き抜ける風に、艶やかな紅色の長髪が宙に舞う。

少女と同じ駅で降りた人間は、疎らで数える程しかいない。
真新しい自動改札口を抜けて、勝手知ったる様に駅の構内に抜ける。


「さて、行きましょうか」


嬉々としてそう呟いた、そうして。
小さなボストンバッグを抱えて、行き交う通行人の間を抜ける。

休日の昼間だというのに構内にいる人間は決して多くはない。
職員を除けば少数のグループや社会人が主だっている位だ。

そんな人々を視界の端に留めて、少女は真っ直ぐと出口に向かう。
桜花は“諏訪原駅・南口”と書かれた看板を潜り、街の表へと出た。







2




「ん〜、良い天気ですね」


表に出た少女を暖かな春の陽気が出迎える。
その陽気に少女を着飾る純白のワンピースが少女を照らす様に美しく光る。

その様子に、周囲の目を引くが少女はそれに気付かない。浮世離れしている。そう思わせる程に。
それほどまでに美しく、絵になる光景がそこにはあった。


「さてレイン、今は何時ですか?」

『今現在の時刻は9時24分ですね。』

「そうですか、この時間ならキーさんは家の方にいますね」


今現在の時刻を確認。
迷う事なく、力強い足取りで目的地を目指して少女は歩き出した。

その途中。
いつも通る小さな交差点の十字路、そこで事故があったらしい。
救急車やパトカー等幾台も点在している。野次馬とも取れる人種が列を成している。

―――事故。

それに何か嫌な予感が頭を過るのを感じた。


『お嬢様、少々回り道になりますが迂回しましょう』


「そうですね、このままではいつ通れる様になるか分かりませんし。…案内をお願いします、レイン」


頭から振り払う様に、私はその場から即座にレインの案内の元、歩き始めた。
キーさんに早く会いたい、その念も押して。






3





普段は選ばない様なルートをレインの誘導の元、進む。
昔はこの街に住んでいたと言っても、全ての道を知っている訳ではない。

新たに造られた道などは、本当に解らない。正に、レイン様々だ。
少しして、漸く私の見知った道に出る事が出来た。


「…ここから先ならば、私にも解りますね。ありがとうございました、レイン」

『いえ、礼には及びません』


私は、案内役であった愛機に労いの言葉を掛ける。
そうして、安堵の息を吐いた。その時だった。

中規模の交差点の十字路で、それは起きた
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