第7話 キヅキ
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くないのに....でも、凛はどうして春くんにそんな気持ちを持つようになったのかわかんないんだにゃ」
「そうなんだね」
「だから....そんな身勝手なりん自身が許せなくて、でもそんな自分が生まれちゃう理由も分かんなくて、どうしようもなくなって春くんに会いたくないって思った」
凛ちゃんの吐き出した不揃いで拙い言葉たち。
それでも私には確かに伝わった。
凛ちゃんははそこまでほとんど息継ぎ一つせずに一気に吐き出し、深く深呼吸した後にこう質問してくる
「かよちんは凛のこの気持ち...わかる?」
そうなんだね.....。凛ちゃん、凛ちゃんの抱えている気持ちは私にはわかるよ。私もそう考えちゃう時もあって。
でもそれが、『恋』なんて言葉で表現される気持ちなんだと思うの。
「わかるよ。凛ちゃんの抱えている気持ちが。多分それはね”自分勝手な気持ち”なんだよね」
「そうなのかにゃ?」
私にもわからないことだってある。
私の傍で笑っていてほしい。
私だけを見ていてほしい。
私だけを考えて欲しい。
きっと凛ちゃんの心の中で渦巻いていて、苦しめているのはきっとそんな身勝手な気持ち。
多分凛ちゃんはずっと前から春人くんをそんな風に想っていたのかもしれない。そして先日の土曜日に生徒会長の前で笑みを浮かべていて、自分たちを見てくれない春人くんに嫉妬したんだよね。
だから、あの出来事のおかげで、凛ちゃんは初めて自分の中に潜む別の気持ちに気づいてしまったんだよね。
小さなときから抱えてこんでいる”コンプレックス”は春人くんが相手だと全然”コンプレックス”がそうでなくなって、自分らしく凛ちゃんは、女の子らしくキラキラしていた。
自覚は無くても私にはそう見える。
「でもゴメンね凛ちゃん、私の口からは教えられないの」
「え?なんで?」
「それは......その答えは自分で見つけなきゃいけないし───」
それに、私の中にも隠れている気持ちだから。
これは、誰にも教えたり、バレたりしてはいけない気持ち。
凛ちゃんにも、春人くんにも。
この気持ちはずっと隠したまま、これからも過ごしていくつもり。
だから私は願うの。
────────春人くんと凛ちゃんが、どうか恋人同士として仲良くなれますように
だって。
私は、春人くんに恋をしてはいけないから
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