第7話 キヅキ
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度も見たことがある。その時の春人くんはいつも真剣に答えようと必死で、だけどいつも決まってこう答える。
───僕には、大切な人がいるから。だから、君とは付き合えない
春人くんの言う”大切な人”。間違いなく私と凛ちゃんのことを指している。凛ちゃんも私も春人くんにそう思ってもらえて嬉しいし、私たちも春人くんのことは”大切な人”だって思っているの。だけど、春人くんの言う”大切”と私たちの言う”大切”の意味は違う。
その些細なズレが今回の喧嘩を生み出したんだと思うの。
誰よりも優しくて、誰よりも私たちのことを理解できていて、大切に想っている春人くん。
私たちが大好きな人はそういう人だから......
私は春人くんに告白はできない。もし、もしも私が春人くんに告白したら今度は凛ちゃんの事を心配すると思うから。そして、凛ちゃんのが春人くんに告白しても、今度は私の事を心配する。
辛い思いをさせるのではないか?
悲しむのではないか?
今までの関係でいることが出来るのか?
こう考えるのは春人くんが優しすぎるから。
だから私はこう思うの。
────告白できなくても、『好き』でありたいなぁ。
小さいあの頃と同じ道、そこで春人くんは漸く、私がやって来ていることに気が付いた。
「あ、おはよう花陽ちゃん♪」
「おはよう春人くん♪.......凛ちゃん、は?」
「........まだ、来てないよ」
春人くんは申し訳なさそうに弱い声を発する。
その姿が痛々しくて私は何も声をかけることができない。2人きりの通学路で今はいないはずの凛ちゃんを探してしまう。
集合時間を過ぎてもまだ凛ちゃんの姿は見えない。
もう、2人きりは物足りないと感じている私がいた。
凛ちゃんに会いたいよ......
会いたいと、会いたいと心が呼んでる。
凛ちゃんがいて、春人くんがいて、私がいる。三人一緒じゃないとダメなんだよ?誰かが欠けるなんて、私には我慢出来ない。
「ごめんね花陽ちゃん。僕のせいで───」
「一昨日からそればっかりだね春人くん。でも凛ちゃんだってわかってくれるよ。悪気があって凛ちゃんを怒らせたわけじゃないと思うから。」
「...うん」
それでもやっぱり春人くんは落ち込んでるみたいで、まともに応対ができていない。
あまり自分から話を振らない春人くんだけど、私たちが話しかけると笑顔で話し出す。どんな話でも嫌な顔一つせずに話を聞いて、頷いて、質問してくれたり様々な事を受け入れてくれる春人くんが『うん』とか、『あぁ』という心ここに非ずの反応に大きくショックを受ける。
それくらい、今
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