第92話
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ブランは命中する直前で大きく後ろに跳躍して、後退し、エステル達の攻撃を回避した!
「ふむ……思っていたよりもやる。ならばこちらも本気で―――」
エステル達から距離をとったブルブランが呟いたその時、塔の屋上の装置から出ていた奇妙な光が消え
「む!?」
「!」
屋上を覆っていた黒い光も消え失せた。
「あ……!」
「元に戻ったんか……!?」
「ふむ、どうやら役目はこれで終わりのようだな。……仕方あるまい。引き上げるとしようか。」
「へっ……」
ブルブランが呟いた事にエステルは驚き、仲間達と共にブルブランを見ると、ブルブランはステッキを構えた状態で、周りに薔薇の花びらが舞っていた。
「ちょ、ちょっと!?」
「ま、待ってください!」
ブルブランの行動を見たエステルとクローゼは制止の声を上げたが
「ハハ、殿下は勿論だが遊撃士諸君の戦いぶりにも輝きを感じさせてもらった。それが真実であるかは次の機会に確かめさせて頂こう。それでは諸君、失礼する。」
ブルブランは高笑いをしながら消えた。
「に、逃げられた……」
「残念です。このまま戦えば撃破できたのですが………」
ブルブランが消えた事にエステルはジト目で呟き、リタは残念そうな表情をして答えた。
「………………………………」
一方ヨシュアは真剣な表情になった後、エステル達と共に装置に装着されてある”ゴスペル”に近づいた。
「これが”β”……。”結社”が造ったゴスペルの最終型か。今までの新型よりもさらに一回り大きいみたいだ。」
「塔の屋上が元に戻ったのはいいんだけど……。問題はこれを使って何をしていたのかってことよね。」
「今まで動いていた装置もまた止まってもうたみたいや。何かイヤ〜な予感がするわ。」
「竜を操っていた事といい、絶対に何かの悪い事に使われたのは確かだね。」
「それに、先ほどまで屋上を包んでいた結界……。あれは何だったのでしょう。」
ヨシュアの言葉にエステルは頷き、顔をしかめて言ったケビンの言葉にリタは頷き、クローゼは不安そうな表情で呟いた。
「………………………………。とりあえずこれでこの塔は元通りになったと思う。一旦、”アルセイユ”に戻ろう。」
「うん……。戻って博士に報告しないとね。」
その後アルセイユに戻ったエステル達は博士に塔の探索で手に入れたデータクリスタルやゴスペル、そして異空間になっていた塔内部や屋上の事を説明し、その後他の四輪の塔の新たな情報――”紅蓮の塔”にてヴァルターらしき人物が目撃されたのを聞き、アルセイユで紅蓮の塔の上空に向かった。
エステル達が紅蓮の塔に向かったその頃、紅蓮の塔付近
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