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マヨネーズ女
2部分:第二章
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第二章

「どうやら」
「昨日阪神が負けたからかい?」
「そういえば課長は昨日の阪神の相手の」
「うん、広島ファンだよ」
 実はそうなのであった。
「生まれが広島なのは知ってるよね」
「はい、それは」
「そのせいかな。彼女阪神ファンだし」
「いや、そうじゃないみたいですよ」
 ところが社員は眉を顰めさせてそうではないというのであった。
「野球よりも厄介な事情らしくて」
「っていうとあれかい?」
 小声で社員に囁く。
「また彼氏と喧嘩でもしたのかい?」
「そうみたいですね」
 二人共彼女の上司と同僚であるからそれは察しがついたのだった。
「それでああいうふうに」
「やれやれ、またか」
 課長はそれを聞いて困ったような、それでいて呆れたような顔になった。
「また喧嘩したのかい」
「はい、またみたいです」
 社員は仕事でも見せたことのないような困った顔になっていた。
「どうもそれでいらいらしているようで」
「じゃあ近付かない方がいいな」
 課長はコーヒーを飲みながらまた述べた。
「絶対にね」
「それがいいですね」
 社員もそれに賛成するのであった。
「触らぬ神にっていいますし」
「全くだよ。触らぬ鬼にだよ」
 何気にとんでもない言い換えをする課長であった。
「女の子の方が怒ると怖いからね」
「そんなにですか」
「だから角隠しっていうんだよ」
 和風の結婚式で花嫁が頭に被るあの白い覆いのことである。それをこう呼ぶのだ。
「怒ったら角が出るからね」
「女の人に角ですか」
「うちの女房だってそうだよ」
 課長は今度は人生を話しだした。
「もうね。怒ったらそれはもう」
「鬼ですか」
「赤鬼だよ」
 ここまで言う。
「本当にね」
「女の人は赤鬼ですか」
「君もよく覚えておくことだ」
 真面目そのものの顔で社員に語る。
「絶対にな。いいね」
「わかりました」
 彼等はそんな話をしていた。その間も臨は不機嫌そのものの顔でオフィスにいてただひたすら自分の仕事をこなしていた。皆その彼女に声をかけることはおろか近付くこともできなかった。
「何かもう」
「核兵器があるみたい」
「全くだよ」
 皆彼女のそのいらいらを感じて自分達が最も緊張させられていた。
「いい加減機嫌なおしてもらわないと」
「どうすればいいのかな」
「さあ」
 こう言って困り果てるばかりだった。
「とりあえずあの娘の彼氏には連絡したけれど」
「したの」
「ええ、何とか仲直りしてってね」
 OL達が男の社員達に言うのだった。
「後はそれ待ちだけれど」
「彼氏は何て言ってたの?」
「それで」
 男の社員達はそれが気になっていた。それでOL達に尋ねるのだった。
「何て」
「どうって?」
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