第8話 唐突な始まり
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を持った。だけどそれは疑心的な興味だけど。
「”策”の内容は聞かされた?」
「ううん。なにも」
勘でしかないから口には出せないけど、その理事長の言う”策”はあまり期待できないような気がする。
ここで少しごちゃごちゃしてきたから整理をしよう。
二人の話によると、”廃校”が全校生徒の前で告げられたのは昨日のことで、それを防ぐために理事長は今後”策”を提案するとのこと。その内容は聞かされていないが恐らく、その”策”は通らないだろうと僕は考える。廃校を免れるにはかなり大変だということを小学校の社会の授業で聞いたことある。それ故に、中々厳しい。
廃校になるのは花陽たちが卒業してから、つまり今の中学三年生は仮令音ノ木坂に入学を希望していたとしても、その願いは叶わずに終わる。
学校が”廃校”になってしまう原因はいくつかある。
少子化による生徒数の減少。これが原因の大半を占めている。
それによる市町村の合併、あるいは教師の減少や予算が足りないなど、理由は多々あげられる。
ここ数年で音ノ木坂近辺の子供が減ってるのは前からあった。それ以外は全く聞かない。生徒の減少の場合他県から集めればいいことなのに、集まらないのは不自然なところだ。
「そういえば、」
「うん?」
「もしかすると、最近できたUTX高校が原因とは考えられないかなぁ?」
「UTX?」
「うん、だって最近あの高校への入学希望者増えているし、向こうに流れていったと考えてもおかしくはないと思うんだけど....」
花陽の言う通りかもしれない。一度UTX前を通ったことがあるけど、遥かに”高校”という概念を越えていた。建物は超高層ビル型で、昇降口はすべて学生証を提示して初めて入校ができる完全セキュリティシステム。公式サイトを見た限り、お嬢様学校そのものだった。
学科も一般的な高校と比べても多様で、普通科進学かはもちろんのこと、理数科、芸能化、声優科、などのテレビで活躍すために設立された特殊な学科もあり、全国各地からも生徒を集めている。
それに対して音ノ木坂学院は歴史の長い学校であり、それ故良くも悪くもどこにでもあるようなごく普通の学校なんだ。一応進学校ではあるがあくまでそれは音ノ木坂学院という名前を売るための売り文句で、自主性を重んじる校風ゆえか厳しい部活などもなく学業も高くない。
───勝てるわけがない
初めて音ノ木坂が”廃校”という危機を迎えることが必然的だった....いや、そう遠くない未来だったんだと、実感させられた。
他の二人も重苦しい現状に嫌気が差したのか、黙り込んで暗い空気を醸し出している。
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