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ラブライブ!〜夕陽に咲く花〜
第8話 唐突な始まり
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つい、抱きしめてしまった。嫌がられると思っていたけど凛は暴れること無く、僕を受け入れてくれた。
そこはもちろん玄関前。通りすがりの主婦やらに見られてるような気がするけど僕はもっと強く抱きしめる。僕の体から”何か”が零れ落ちる。タガが外れた僕は凛のぬくもりを求めるかのように強く、強く。





「やっぱり凛ちゃんがいないと僕はダメだよ。君の元気なところとか、笑ってるところ見てないと僕も元気出ない。声を聞かないと寂しいって......辛かったんだよ」
「......春くんの、バカ」
「ほんとにね。僕はバカだよ。凛ちゃんと花陽ちゃんが一番大切なのに僕は気付かないでいたんだよ」








 凛の大切さを知った。言葉だけで言い続けた”一番大切”は所詮言葉であって、今回の喧嘩が無ければずっと僕は僕自身だけでなく凛も悲しませていただろう。
 

 凛の優しさを知った。僕があれだけ絢瀬先輩に揺り動かされて凛や花陽に目もくれずに、嫌な気分を与えていた僕を、今はこうして受け入れて抱きしめ返してくれている。


怒ってるはずなのに

嫌いになったはずなのに

許せないはずなのに


 それでも彼女は僕の前で心から笑ってくれている。それが彼女───星空凛の優しさなんだ。


 凛のぬくもりを知った。小さな体なのに大きく感じて、微かに香るシャンプーとお日様のような芳香が彼女の”女の子らしさ”をより一層引き立たせて来る。



「りんこそ、”あんなこと”言ってごめんね?春くんはそんなこと考えるはずないってわかってたのに.
.....」
「あんなこと?」
「『りん達を一番に大切に想っている』ってところだにゃ。それをりんは嘘だって言って」



 確かに僕は心からそう思っていた。だけど、それはただの上辺面の言葉で僕の行動精神から来てるってわけじゃないことに気づかされた。だから言われても仕方ないこと。


「確かに僕はその一言は傷ついたよ」
「っ!!ご、ごめ───」
「でもね、言われて僕はうれしかったんだ」



そう。
僕はそう言われて嬉しかったと思ってる。これは紛れもない事実で決して揺るがない本心。
 言われてなければ、僕は何も変われてなかったと思うから。


「凛ちゃんの言ったことは事実で、上辺だけの言葉だけのモノだったんだよ。だから、気づけて嬉しい。凛ちゃんに言われて僕は嬉しかったんだ。だから









────────ありがとう」









 僕はもう一度凛の顔を見て感謝の言葉を伝える。
久しぶりに見た凛の顔は少しばかり目の下に隈ができていて、僕と喧嘩したあの日からあまり寝ていないんだなと感
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