第80話
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いう国が”メンフィル”という国に呑みこまれただろうからな………なりふり構わず停戦を申し出、首謀者たちを悉く処刑することで事件を無かったことにした。これが―――『ハーメルの惨劇』の真相だ。」
「………………………………」
「そんな日々の中……ヨシュアの心は完全に壊れた。姉の死、親の死、隣人の死、初めて人の命を奪ったショック、そして欺瞞に満ちた世の中……。6歳の子どもの心が壊れるには充分すぎるほどの出来事だった。」
「………………………………」
「多分、その先のことはヨシュアから聞いているだろう。心が壊れたヨシュアはハーモニカ以外に興味を無くし、次第に痩せ衰えていった。そんなヨシュアと俺の前にあのワイスマンが現れて……。俺は彼にヨシュアを預けて”身喰らう蛇”に身を投じた。そしてその2年後……。教授に調整されたヨシュアも俺と同じ道を辿ることになった。」
「………………………………」
「―――これが闇だ。エステル・ブライト。お前とヨシュアの間にどんな断絶があるのか……ようやく理解できたか?」
「………………………………。……うん。やっと、ヨシュアが居なくなった本当の理由が見えてきた気がする。」
レーヴェの話を全て聞き終えたエステルは静かに答えた。
「なに……?」
一方エステルの答えを知ったレーヴェは驚いた表情でエステルを見た。
「―――教授の誘いは今ここで断らせてもらうわ。あたしは絶対に”身喰らう蛇”には入らない。”結社”が好きか嫌いかそういうのとは関係なく……あたしがヨシュアを追い続ける限り、絶対にね。」
(エステル……!)
(エステルさん……!)
(………よく言った。それでこそ、我が”真の名”を呼ぶのを許した2人目の人間にして、誇り高き我等”炎狐”の”友”!)
(”守護天使”の名を誇りに掛けて……命尽きるその時まで”守護”しましょう………”英雄”の道へと歩む人の子よ………)
(クー!)
(…………………)
エステルの答えを知ったパズモとテトリは希望を持った表情をし、サエラブは口元に笑みを浮かべ、ニルは微笑み、クーは嬉しそうに鳴き、また腕輪を通してその様子を見ていたカファルーは黙っていたが、どこか興味深そうな雰囲気を出していた。
「………………………………フッ……おかしな娘だ。今の話を聞いて逆に迷いを吹っ切るとはな。どうやら、ただ”剣聖”の娘というわけでは無さそうだ。」
一方レーヴェは黙り込んだ後、口元に笑みを浮かべて、エステルに感心した。
「そ、そう?よく分からないけど……。そういうあなたこそ、ただヨシュアの昔の仲間ってだけじゃなかったわけね。お兄さん的な存在だったんだ。」
レーヴェの言葉を聞いたエステルは
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