Side Story
少女怪盗と仮面の神父 13
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! 少しくらい、尊敬とか信頼とかしてくれても良いじゃないかっ! とにかく、お前も用事が済んだらふらふらせずに直帰しろ! 解ったな!? じゃ、俺は仕事に戻るッ!」
「ちょ……ヴェルディッヒ!?」
半眼でじとーっと睨むミートリッテに、ヴェルディッヒは焦りを隠さず、顔ばかりか体まで反らし。突如、猛然と走って逃げた。
「……信頼も何も、余計な事を……としか思えないんだけどなぁ。収拾能力に期待できる実績も無いくせに、はったりなんかでやる気を倍増させて……本当に襲って来たらどうすんのよ」
暫く唖然としていたミートリッテは、深呼吸してから軽く頭を振る。
(自警団や警備隊の考えは解った。詰めの甘さや不備が多そうだし、海賊達が安い挑発に乗ってしまわないかはちょっと不安だけど、こっちの対海賊面には常時注意を払わなくても良いかも知れない。対シャムロック面では引き続き用心しておこう)
それより、今一番の課題は
「あ。おはようございます、ミートリッテさん」
「……おはようございます」
今日も絶好調な強風に曝され、軽い息苦しさの中で辿り着いた教会のアプローチ。
その中央、長い髪を首筋で一つに束ねたアーレストが、のんびりと空を見上げていた。
他に人影が無い。取り巻き不在……教会の中か。丁度良い。
「あの。一つ良いですかね?」
もう、礼儀正しい一般民の口調は投げ捨てた。アーレストにはタメ口でも良いくらいの心境だが、其処は年上相手。一応の体面は保つ。
「なんでしょう?」
「私、アリア信仰なんか本気でどうでもいいんです。でも、教会の内部には興味がある。だから、先日私にくれた自由を先に行使させてくれませんか? そしたら、この先も協力を約束します。どれだけ力になれるかは未知数ですけど」
お勉強上等。お説教どんと来い。ただし、その前に褒美を寄越せ。
アリア信仰への勧誘は散々断った。それでもと押し切ったのはアーレスト側だ。
なら、これくらいは許されても良いだろう。
(てか、断られたら本気で困る。時間が無いのよ、私には!)
首を傾けてじっとミートリッテを見ていたアーレストは
「……はい。それで変えられるものもあるでしょうから、止めはしませんよ。私は暫く外に居ます。この鍵が開ける場所なら、お好きにどうぞ」
首に下げていた鍵付きのネックレスを外し、ミートリッテに手渡す。銀色の細い鎖が ちゃり……と鳴った。
「……監視してなくて良いんですか?」
厳密にはまだ部外者である彼女をあっさり受け入れた神父は
「何故そんな必要が? 貴女の音はとても綺麗なのに」
意味不明な言葉と共に、何処までも透明な笑顔を返した。
しかし。
(……なんだろう。顔色が悪い?)
家まで強引に押し掛けてきた時と比べて、覇気が感じ
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