Side Story
少女怪盗と仮面の神父 13
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教会から歩いて来たらしい、現在三番目くらいで接触したくない相手に声を掛けられ、咄嗟に逃げ出しそうになった。
「げって何だよ。朝一から失礼な!」
「あぁー……なんでもないわ。気にしないで。それより、自警団の仕事はどうしたの? 持ち場を離れてて良いの? あ、さてはサボりか。この、給料泥棒め!」
「……お前、感じ悪くないか?」
お怒りごもっとも。ミートリッテも、海賊が絡んでなければこんな失礼な態度は取らない。
しかし、長々と話すのは状況が許してくれないのだ。つっけんどんになるのも仕方ない。
「残念ながら今も仕事中だ。俺は巡回がてら村のみんなに警戒を促す係。ハウィスさんに聞いて知ってるだろ? 村の近辺に危険な集団が潜んでるって話」
「ええ。……あれ、どうして詳細を伏せてるの? 予め教えてくれたほうが、みんなも逃げやすいでしょうに」
「村のみんなにまで容姿や特徴を知られたら、奴らに潜伏する理由が無くなるからだ。目的はともかく、折角大虐殺をせずに隠れてくれてるんだし、被害が出ないならそのほうがありがたい。俺達が詳細を表に出さないと明言した上で警戒体勢を整えてるのは、『詳細は教えてないから、みんなには手を出すな』『手を出すなら両国の軍が容赦しない』って、奴らに向けた暗号なんだよ。現状維持、或いは即刻退けって意味さ」
(お前達が村付近に居るのは判っている。此処で悪さをするなら、アルスエルナとバーデルが協力して叩き潰すから覚悟しろ……か。うーん?)
「それ、露骨にアルスエルナとバーデルの協力体勢が整うまでの時間稼ぎだよね? 大虐殺するような人間が大人しく聞き入れるとは思えないんだけど。逆に、やれるもんならやってみろって襲って来たりしない?」
「…………。」
(え。ちょっと? 何故此処で黙る? 気まずそうに目を逸らす!?)
「……んー……まぁ、な。それはよっぽど大丈夫だ。多分」
「いや、多分って何!? 全然大丈夫そうに思えないんだけど!? 何を根拠にそんな自信が!?」
横方向にふよふよ泳ぐ新緑色の目が、ミートリッテの不安を一層深める。
ヴェルディッヒ達の選択は、相手を高圧的に挑発したも同然の行為だ。今回は海賊共の狙いが「借りを作ったネアウィック村での指輪回収」にあったからまだ良いものの、普通に海賊として来ていたら今頃村は手酷く荒らされてたんじゃないのか。そして、今からでもそうされる可能性が全く無いとは言えないのに。
「奴らの頭がとにかく現実的で、危険と結果を極めて冷静に秤へ乗せられる型だから……か」
「言っちゃ悪いけど、小さな村の自警団と、まだ国境を越える権限を持ってない警備隊如きの、何が危険なの?」
「そっ……! それは失礼な疑問だぞミートリッテ! 俺達は毎日、真面目に鍛練を積んでるんだ
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