暁 〜小説投稿サイト〜
おとそ
3部分:第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初
「おう、景気付けだ」
「それで厄払いかい?」
「それもあるな。とにかく酒だ」
「それはいいが気をつけるんだな」
 医者はそんな彼を止めることはなかった。
「一度倒れたからわかっているとは思うが」
「ああ、こいつやガキ共の為にもな」
 彼は言った。
「もうそれはしねえよ。安心しときな」
「そうか」
「ああ、やっぱりそれはわかったさ。それでな、シズ」
「何だい?」
「これからはメチレンはやらねえ。無茶もしねえからな」
「そうあって欲しいねえ」
「しかしまあ何だな」
 彼はそのうえで俯いて述べた。
「今回も運に助けられたさ」
「全くだ」
 最後に医者の言葉が部屋の中に響いた。繁太郎の運のよさを示す話であった。戦後最高の博打打ちと言われた彼の逸話の一つであった。迂闊な逸話であったが。


おとそ  完



                   2006・11・6

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ