冴島 大河
第二章 裏切者
第一話 発見
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冴島は、一旦花屋のもとへ戻る事にした。
宮藤が逃げた今、桐生の情報を探す手段を失ってしまったからだ。
情報通の花屋ですら桐生の居場所を割り出せていないのだから、他の誰かに訊いたって同じ答えしか返ってこないだろう。
桐生への鍵は、何度考えても宮藤しかいなかった。
「無事ですか、冴島さん」
「6代目、すみません。宮藤の口を割れなかった」
「ここから様子は見ていた。ただでさえ、宮藤は腕っ節がある。そう簡単に負けて、口を割るとは思えなかったが……」
大吾と真島が冴島に集まる中、花屋だけはジッとモニターを見つめていた。
まるで銅像のように、ピクリとも動かず椅子に座ったまま。
だがその視線は、あるモニターだけを向いていた。
冴島は花屋に駆け寄ると、そのモニターへと視線を移す。
映し出されていたのは、黒スーツの男と赤スーツの男が数人に囲まれている姿だった。
少しぼやけているが、それでもその赤スーツの男に冴島は見覚えがある。
「秋山か……?」
「どうやら、天下一通りでの揉めごとに巻き込まれているようだな」
「秋山と一緒にいるのは、麻田ですか?」
大吾も花屋に駆け寄ると、花屋は黙って頷いた。
「相手は恐らく、喜瀬組だ。情報収集しているのを嗅ぎつけ、奪いに来たに違いねぇ」
「喜瀬?」
聞き覚えのない名に首を傾げると、いつの間にか隣に立っていた真島が口を開く。
「今の幹部の1人や。宮藤とは違って単なる力馬鹿やけど、それでも腕っ節で幹部までのし上がった男なんや」
「今は先日の騒動で、ムショに入ってます。その騒動に秋山さんも関わってましたから、少なからず喜瀬組から恨みを持たれてるかもしれませんね」
よく見れば、秋山たちは既にボロボロだった。
長く追い回され、対抗したせいで体力を使ってしまったのだろう。
肩で息をしているのが、見え見えだった。
秋山と冴島は、以前共に戦ったという接点がある。
だからこそ、ここで見過ごす訳にもいかない。
「助けにいくつもりか?冴島」
「当たり前や。見過ごす訳にはいかんやろ」
「そうか。それなら合流した後、足立の事務所に向かえ」
またもや、知らぬ名が出てきた。
直後真島から、足立も幹部の1人だと聞く。
宮藤、喜瀬、足立。
この幹部が今、7代目を狙っているのだと把握した。
しかし、その足立の事務所に向かえとはどういう事なのだろうか。
冴島の心情を察したかのように、続けて花屋が語りだす。
「あいつは少し前に宮藤と接触したきり、行方不明だ。どうもキナ臭ぇ感じがする。いいか?足立は裏切りを繰り返す男だ。もし近付いてきても、絶対信用すんじゃねぇぞ」
それは、怒り混じりの忠告だった。
あまり感
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