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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百九十二話 悪名
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それによって徐々に受け入れさせよう。
宇宙暦 799年 11月 5日 ハイネセン 最高評議会ビル ジョアン・レベロ
「帝国の大使が到着するのは一月だったな、ホアン」
「ああ、オーディンとハイネセンは遠い。そのくらいにはなるだろう。如何した?」
「彼が来なければ国債の発行が儘ならん」
「ああ、そうだな」
ホアンが顔を顰めた。
「軍人を民間へ戻す。そのためには経済状況の安定が必要だ。景気高揚対策を執らねばならんがそのためには財源が必要だ。それ無しでは失業者を増やすだけだろう。現状では先延ばしせざるを得ない」
「やれやれだな。失業者を恐れて税で養うか。已むを得ぬとはいえ財政赤字が増えるだけだな」
その通りだ、財政赤字が増えるだろう。だが已むを得ぬ。失業者の増加は単なる経済問題には留まらない。失業者の存在は大きな社会不安を引き起こす。現状、政権基盤の弱い政府にとって社会不安は危険すぎる。反帝国運動、反政府運動に簡単に結び付くだろう。受け皿無しでの軍からの放出は混乱を引き起こすだけだ。
TV電話の受信音が鳴った。受信ボタンを押すとトリューニヒトの顔が有った。多少は気分転換になるだろう。少々表情が厳しいな、何かあったか?
「如何したトリューニヒト」
『如何したじゃない。君達は何時になったら新暦に同意するんだ。帝国では同盟が何時までも同意しない事に批判が出ているぞ』
ホアンの顔を見た。顔を顰めている、多分私も同様だろう。
「いや、新たな暦が必要なのは理解出来るんだ。その事に反対はしない。だが祝日がね、ルドルフ大帝生誕記念日、議会の反発が酷いんだよ。君だって分かるだろう」
トリューニヒトが顔を顰めた。
『馬鹿な事を。君達こそ分かっているのか? 祝日には自由惑星同盟建国記念日、銀河連邦建国記念日が有るんだぞ』
「……いや、それは分かっているがね」
ホアンが言うとトリューニヒトが大きく息を吐いた。
『本当にその意味が分かっているのか? 帝国は自由惑星同盟を国家として認めると和平条約で約束した。そして暦にもその名前を使った祝日を入れようとしている。これから先も銀河連邦、自由惑星同盟という国家が有ったと伝えていくと言っているんだ。この宇宙に民主共和政国家が存在した事を否定しないと言っているんだぞ』
「……」
なるほど、そういう意味が有るか。ホアンが二度、三度と頷くのが見えた。
『レベロ、ホアン。帝国では地方自治には民主共和政を導入しようという意見が有るんだ。その声は決して小さくない。君達はもっとその事を重視すべきだよ。極端な事を言えば目的は民主共和政の存続で自由惑星同盟はそのための手段として利用する、そのくらいの覚悟を持つべきだ』
「随分な言葉だな」
『私は本気で言っているよ
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