第72話(5章終了)
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「ちょ、ちょっと!?」
「アガットさん……」
(ふむ、やはり物では誠意は伝わらぬという事か?)
アガットの言葉にエステルは驚いた後ジト目でアガットを睨み、ティータは心配そうな表情で見て、レグナートは静かな様子でアガットを見た。
「そういう意味じゃねえ。この大きさだと………1つ、1千万ミラといった所か。1万分の1でいい。これと同じ結晶を寄越しな。」
「へ………?」
アガットの提案にエステルは首を傾げた。
「犯罪でも絡まない限り、遊撃士を雇うのは有料でな。品物の運搬料だったら1000ミラ貰えりゃ充分だ。それさえ払えば引き受けてやるよ。」
「あ……」
「まったくもう……。素直じゃないんだから。」
(ふむ、そういう事か。それでは受け取るがいい。)
アガットの言葉にティータは安心し、エステルは呆れながら安堵の溜息を吐き、レグナートは頷いた後、アガットの手に小さな金色の結晶を出した。
「よし……契約成立だな。この2つは、責任をもって村長と市長に届けてやるぜ」
(うむ、頼んだぞ。ふふ……しかし、先ほどの一撃は中々だったぞ。銀の剣士と戦っていた時は何とも頼りなかったが……。一皮剥けたようではないか。)
「なっ……」
「 廃坑の事を覚えているんですか?」
レグナートの念話を聞いたアガットは驚き、ツーヤは尋ねた。
(操られてはいたが、意識は残っていたからな。小さき娘よ。おぬしの勇気と健気さにはなかなか感服させられた。ふふ……だから人間というのは面白い。)
「あ、あう……」
「あはは、意外とお茶目な所があるじゃない。」
レグナートの念話にティータは照れ、エステルは苦笑した。
(ふむ、そしておぬしは……。なるほど、道理で覚えのある匂いがするわけだ。”剣聖”の娘だな?)
「へ……!?」
「おいおい、どうしてオッサンを知ってやがる!?」
レグナートの念話を聞いたエステルはレグナートがカシウスを知っている事に驚き、アガットは驚きながら尋ねた。
(20年前、眠りにつく時、最後に会った人間の1人だ。剣の道を極めると言って無謀にも挑んできたのだが……。いまだ壮健でいるのか?)
「う、うん……。ピンピンしてるけど。……まさか竜とまで知り合いとは思わなかったわ。」
レグナートに尋ねられたエステルは頷いた後、呆れた表情で溜息を吐いた。
「わあ………お祖父ちゃんって、こんな大きな竜さんとも知り合いだったんだ!」
一方ミントははしゃいだ。
(フム…………それにしても、まさか我以外の”竜”達がいるとは思わなかったぞ………それも我とは異なった”竜”のようだな………人の子と”絆”を結ぶ竜等……今まで聞いた事がない
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