2部分:第二章
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第二章
「ダイエットっていっても色々あるんだよ」
「けれどお菓子食べられないよね。お肉も」
「まあ話は聞いてね」
まだ泣きそうな顔になっている祥子に穏やかな声で話す。祥子は見た目は大人に見える時もあるがその中身は存外子供っぽいのである。無邪気と言えば聞こえがいいか。
「確かにケーキは食べられないよ」
「やっぱり」
さらに泣き出しそうな顔になった。これは予想した通りである。
「けれどね。食べていいお菓子もあるよ」
「何?」
「蒟蒻ゼリーとかね。蒟蒻ってカロリーないから」
「あっ、そうだったね」
それを言われてはたと気付く。
「そっか。そうだったよね」
「誰かが蒟蒻ゼリーばかり食べて痩せ過ぎになったって言われてるよね」
「うん」
その話は祥子も聞いている。彼女も知っている女優が太るのを気にするあまりその蒟蒻ゼリーばかり食べてかえって痩せ過ぎになってしまったのだ。
「そういうのとかね」
「そっか。じゃあお菓子は蒟蒻ゼリーで」
「うん。ゼリーとかなら結構ね。あと果物を選んで」
「果物もいいのね」
「まあね。種類はこっちで選んでおくから」
「お願い。それで」
「お肉もね。鶏肉だったらいいんだよ」
彼はそう教えた。
「特にササミだね。ああいうのはいいよ」
「じゃあ鶏の焼肉とかは」
「ああ、それはいいよ。カロリー少ないしタンパク質多いし」
「うん、それだと祥子頑張れる」
とりあえずそこまで聞いて気を取り直した。顔が少しだが明るくなった。
「後は運動だね」
マネージャーはまた言った。
「水泳とね。ランニング」
「水泳はもうやってるから。ランニングよね」
「そう、それでいいと思うよ。あとジュースじゃなくてお茶かお水に変えること」
「ええっ」
それを言われてまた泣きそうな顔になった。
「じゃあ桃の天然水も!?」
「駄目だよ」
はっきりと言い切られてしまった。
「当然他のジュースもね。お茶も甘くない紅茶か緑茶とかだね」
「桃の天然水大好きなのに」
今度は目に涙まで滲んでいた。どうやらそれが本当に悲しくて嫌らしい。
「あれあの人がCMに出てるし」
あの人とは彼女が好きな歌手である。祥子はアイドルになってもそういった芸能人に憧れる女の子なのである。
「いつも飲んでるのに」
「けれど今は駄目だよ」
岩崎さんは言う。
「痩せないと駄目だから」
「どうしても?」
「そう、どうしても」
ここまで言われてしまった。
「わかったね、それで」
「うう・・・・・・」
泣きそうな顔のまま答えられない。
「ここはファンの為にね」
「ファンの為に」
それを聞くと祥子の目の色が一変した。実はこの言葉は彼女にとっては魔法の言葉なのである。
「そうよね」
「そ
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