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ダイエットは一苦労
1部分:第一章
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じめてであったのである。
「だからだよ」
「だからって」
「言っておくけれど水着だよ」
「はい」
 社長はそこを念押ししてきて祥子もそれに頷く。
「体型がはっきり出るんだよ。それでそのスタイルはまずいよ」
「まずいんですか?」
「まずいって」
 祥子ははっきり言って太っている。元々の体型と体質がそうなのであるがそこに加えてお菓子ばかり食べている。これで太らない筈がないのだ。しかもプロフィールには好物は焼肉、ケーキとまで書いている。これでどうして太らずにいられようか。言うまでもないことであった。
「せめて五キロは痩せて」
「五キロ・・・・・・」
「できるでしょ、お仕事まで時間あるし」
「けれど」
「言っておくけれど食事制限だよ」
 社長は言い渡す。
「お菓子も焼肉も駄目だから」
「ケーキは」
「勿論じゃない。ケーキはお菓子だよ」
「そんな、ケーキまで」
 祥子は大好物、とりわけ毎日食べているケーキを禁止されて絶句してしまった。絶望さえ感じていた。
「じゃあ何を食べれば」
「おいおい、何言ってるんだ」
 社長はその言葉を聞いて思わず声をあげた。
「別にお菓子や焼肉を食べなくても生きていけるぞ」
「それでも祥子は」
「とにかくね。これはお仕事なんだよ。お仕事」
「はい」
 そういえば気を引き締めさせる祥子の性格を衝いてきた。これも策略だ。
「だからだよ。いいね」
「どうしてもですか」
「そうだよ、どうしても。わかったね」
「わかりました。じゃあ」
 ここまで言われては逃げられなかった。祥子は泣く泣くそれを受け入れることになった。こうして彼女にとってあまりにも過酷なダイエットがはじまったのであった。
「まあ祥子ちゃんそんなに落ち込まないで」
 岩崎さんは社長室の外で今にも泣き出しそうな顔になっている恭子に声をかけた。
「ここは僕に任せて」
 マネージャーとして彼女を気遣うだけでなく人としても気を使っていた。
「マネージャーさんにですか?」
「うん。ダイエットはね、これでもよく知っているんだ」
「そうなんですか」
「そうだよ。だから安心して」
 祥子に対してにこりと笑って述べる。
「わかったね」
「どうするんですか?」
「うん、それはね」
 それを話す為に祥子を事務室に案内した。そして自分の席の側にもう一つ椅子を持って来て向かい合って話をはじめたのであった。


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