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八神家の養父切嗣
四十五話:王の翼
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名とギンガ。スカリエッティのアジトへはフェイトちゃん、その先で教会の応援と合流。以上! 何か質問があるなら今のうちに言っとき」

 じっくりと全員の顔を見るが誰も文句はないのか真っすぐに自分を見つめてくるだけである。それは自分の指示を信用してくれているということであり、自分の指示の誤り一つで部下が命の危機に晒されるということ。改めて感じる立場の重みを隠すようにはやては頷き出動の指示を出す。

「それじゃあ、各自最終確認が終わり次第すぐに出動!」
『はい!』

 その言葉を合図に六課の隊員達は最後の戦場へと向かっていくのだった。





 戦闘機人達の侵攻を食い止めるためにミッド中央の前線へと向かうヘリの中。ギンガは苦しそうな顔をしてブリッツキャリバーを見つめていた。

「ギンガさん……」
「ああ、ごめんなさいね。つい、考えちゃって」

 ティアナに声をかけられたことでハッとして顔を上げるがその表情は暗いままだ。それも当然だろう。未だに妹のスバルの安否は分かっておらず、下手をすれば殺されている。あるいは人質として使われる可能性もあるのだ。もし、その時に市民の命と妹の命を天秤にかけるようなことがあれば自分がどちらを取るかが分からなかった。

「スバルはきっと大丈夫ですよ。人一倍しぶといですからね。もしかしたら自力で脱出しているかもしれませんよ」
「そうね……そうよね。私が信じてあげないと、お姉ちゃんなんだから」

 励ますようなティアナの言葉に気持ちを入れなおすギンガ。スカリエッティは理由はどうであれ無暗に人を殺してはいない。ならば自身の技術が生きているスバルを傷つける可能性は低く見積もってもいいはずだ。

 どこに捕らえられているかは分からないが一刻も早く見つけ出そう。あの子はいつも一人で転んでは泣いていたのだから。母がいない今は自分が手を引いてやらなければならない。懐かしい思い出に少し笑みが戻ったところではたと気づく。スバルはあの事故以来、一度も泣いていないことに。

「そう言えば、ティアナ。あなたはあの子が泣いているところを見たことはある?」
「スバルがですか? いえ、というかスバルって泣くんですか?」
「最近は泣かないけど小さい頃はすぐに私に泣きついてきてたのよ」
「なんだか、今のスバルさんからは想像できないです」

 どこまでも真っすぐで心の強いスバルしか知らない三人は聞かされた話に目を丸くする。そう、スバルはあの日を境に変わったのだ。正義の味方という子供じみた願いを叶える為に強くなろうとした。もう泣いているだけで何もしないのはやめようと誓った。

 そこに自分は泣いてはならないという強迫観念や自責の念があったかもしれない。しかし、妹の歩いた道に嘘偽りはない。だから、何も心配する必要
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