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お寺の怪
2部分:第二章
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「はい、それでは」
 こうしてその可愛い男の子のいるいいお店に向かいそこで細かい商談をしたうえで二人は店を出た。交渉は成功であり二人はにこにことした顔でバンコクの街を歩きつつ話をしていた。
「いや、やっぱり日本人はいいですね」
「そうかしら」
「親切で気前がいい」
 タイではこう評判なのは事実だ。お人よしでカモにされているという一面はあるにしろ。
「だから私は日本人のガイドがメインですね」
「お金になるのね」
「しかも仕事し易いんですよ。かなり任せてくれますから」
「あまりああだこうだ言わないのは事実ね」
 外国人に関してはだ。少なくとも勝矢はそうである。
「それぞれの国の文化があるから」
「そういうことです。私も最初日本人には随分戸惑いました」
「どういうことに?」
「あれです。生ものをやけに食べたがるのね」
「それはあるわね」
 これは勝矢にもよくわかることだった。それを聞いてにやりとしていた。
「お刺身よね」
「お魚だって色々と食べるし」
「大体生ものが好きなのよ」
「私等が食べないような。それこそほら」
 ここで道の猫を指差す。見ればシャム猫が鯛を食べていた。
「鯛ね」
「あんな猫の餌にしかならないような魚を美味しそうに食べるんですから」
「あれは猫の餌なの」
「他に何かあります?」
 ラーマは首を傾げて勝矢に問う。
「というかあれは美味しいのですか?」
「最高よ」
 にこりと笑っての返事だった。
「特にそのお刺身にしたらね」
「そうなんですか」
 ラーマはまた首を傾げる。どうにも納得できないのがわかる。だが勝矢はそんな彼の戸惑いに構うことなくここで話を変えてきたのであった。
「それはそうとね」
「ええ」
「いい子だったわね」
「ええ、そうでしょ」
 勝矢のスケベそうな笑顔に応えて彼もそうした顔になっていた。
「いや、最初見た時は私も驚きまして」
「美少年よねえ。惚れ惚れしちゃったわ」 
 勝矢は自分の両頬にその両手を添えていた。恋する顔になっていた。
「肌は黒くてそれでいて細やかで」
「顔立ちもいいでしょ」
「最高よ。ハンサムで」
 やや古い表現をあえて使う。
「仕事が終わったらあの子にアタックよ」
「日本人はそういうの好きですね」
「男の子が?」
「ええ。そういう人もよく見ます」
 顔が少し真面目になっていた。
「それには驚きませんが」
「日本では昔からこういうことがあったからね」
「そうらしいですね」
「そうよ。男が男を好きになってもいいじゃない」
 勝矢の偽らざる本音でもある。
「そこんところどうかしら」
「別にいいと思いますよ」
 ラーマもそれは特に否定しない。二人の足は何時しか人気のない場所に向かっていた。それまで普通の
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