第1話
ep.010 『赤く染まる幼い少女編 8』 完結
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い。」
と、老人の開いているのか分からないような目を見る。
「いやいや、いいんじゃよぉ。」
にっこりと優しい笑顔だけをした老人はそのまま立ち去った。
(よくわからんジジィだな。)
最後、立ち去るときにじいさんはシーちゃんを見ていた、気がする。いた訳ではないが、なにか冷たい視線をじいさんの方から感じたのだ。俺でなく、この子に向けて。
「ここからはもう私ひとりで行けますよ。」
そう言いながら彼女の背中を押す。
「いや。」
おい待てと、その背を押す腕をつかむ。少しだけ強く威嚇する様に。
「なんでしょうか。ここからはもう安全でしょう?」
その言葉に対して握った手を離し、後頭部をさする程度にかきながら。
「いちいちさぁ、そういうフラグめいたこと言うな。これで俺が行くのが確定しちまっただろうがっ。」
「はぁー。」
エレベーター。階層のボタンは100以上あり俺らが押すのは一番上の階。このタワー上にもこじんまりとしたビルがあるが、そこに地下の階層のボタンをまんま取り付けているというのは不自然だろう。
だから、地上は地下の存在をある程度守るためにこのような対処をとっているのだ。
扉が閉まる。
ガタッと動き出したエレベーターは途中止まる事無くだんだんと加速していき、地上に行く。
「お兄ちゃん。私今度は何処に行くんだろうね。」
他人事のような言葉を思い詰めているこの子は、その幼い容姿からは感じられないような大人びた気持ちが漏れていた。
「まあ、安心しろ。せめてもう実験されないようには俺も力を尽くす。」
この光景を隣で見ている彼はどんな気分だろう。視界に入る限りだと、少し冷めたような目をしている。
「お前はお前なりに人間になればいい。たとえその身体がどうなろうとも感情とか、表情は人間でいられるんだ。もうお前から人間じゃない部分を増やさせはしない。」
この場にいない誰かに言う。彼女に言って彼女に向けて行っていないその言葉を、夢絶はその場にいない彼女に向けて誓う。
ポーン。
最上階。約3kmの距離をただのエレベーターで上って来たのだ。少し気分が悪い。
扉開き、地上。と言ってもまだ青空やそれを隠すビルが見えている訳ではない。
「おい。お前学園都市の人間だろ? エレベーターで酔ってどうする?」
夢絶は言う。
「いえいえ、私もこの役職に就いたのはつい2ヵ月前でして、まだまだ慣れないことばかりですよ。」
口と下腹部を両手を使い抑え
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