壱章
誰故に 乱れ初めにし 〜中〜
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ロゴロと鳴らしていた。
それにしても、この屋敷では猫を飼っていなかった筈だ。
たまに庭に迷い込む猫はいるが人が近づけば、威嚇した後、何処かに行ってしまう。
それに、こんな丸い鞠のような身体ならば猫嫌いだろうと必ず目に付くだろう。
これだけ真ん丸なのだから余程身分の高い、貴族や武家の飼い猫だろう。
さぞや旨い飯をたらふく食っているに違いない。
不意に猫が香箱座りから立ち上がり、縁側から庭に降りていった。
そして、生垣に空いた小さな隙間に近づき、
「フギャァオ」
と此方を見ながら一鳴きし、隙間から屋敷の敷地外に出て行った。
「…………変わった鳴き声だな。」
政宗もまた、立ち去る猫の姿が見えなくなるまで見つめていた。
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