第二部
狩るということ
じゅうご
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
事をしていたのが妥当というところか。
となれば、エリステインの左足は絶望的……。
そんな思案の渦の中、私はあることに気付く。
「……総隊長と呼ばれていた男が見当たらない」
この死体の多さから、判別は難しいように感じたが、私は彼の骨格等のデータを引っ張り出して次々とスキャンを掛けていく。
……。
……。
……。
……該当なし、ね。
一目散に逃げ出したか。
まあ、この惨状だ。部下が無惨に死に逝く姿を見せられて、あまりの無力感に臆病風にでも吹かれたのだろう。理解できなくもないが、中には数名女性の騎士も見受けられるし、まだまだ若い男性騎士の体もある。肉の壁に使ったのかどうかは知らないが、恐らくは逃げ延びて、いまも生きているだろう。
若干、もやっとしたものを感じるが、取り立てて私には関係のないことと、不快感を瞬時に切り捨てる。
さて、それでは、どんな“化け物”がこれを起こしたのか、少々調査してみるとしようか。
―
私は視線を巡らせて、辺りのスキャンを開始する。
あまりにも不自然な倒れた木々や足跡から察するに、大きさは約6〜7メートルほど。二足歩行であり、死体を検分したところ、そのほとんどが喰い千切られているか、凄まじい腕力でもって引き裂かれているかだ。
あとは鋭利な爪でも持っているのだろう。鋭くも人工的ではない、引っ掛かりのある雑な切り口が伺えた。
その他にはこれといって目立った箇所は無かったが、これだけの武装した人間が手も足も出せず、一方的に蹂躙されてるのだから、改めて随分と物騒な森だと認識せざるを得ない。
そこで、何故このような中途半端に食べ残して、また森の奥深くへ帰っていったのだろうかと疑問に思う。
死体の損傷を見るに、特定の部位に固執した偏食の傾向はないと見ていい。稀に野生の動物でもある特定の部位や、種族しか食さないといったモノもおり、地球でいうシャチなどがその最も足る例だろうか。端的に言ってしまえば、血液しか接種しないナミチスイコウモリなどもそうであるといえる。
襲撃者の体の大きさからみても、摂取量は決して多いとは言えないが、元々人間のような筋張った生き物を好んで食すような動物も少ない。まあ、自然なことかと考えを纏める。
熊等でよく聞くが、「一度人間の肉を食べると、味を覚えて〜」とかなんとか言うが、あんなもの、警戒心が強くて機敏な野生の動物を選ぶよりも、人間の方が狩り易いからそれを覚えるだけだ。
分かる範囲での調査の結果、特筆すべきは強靭な肉体を持っている、大柄な生物といったことだけだ。
もしかしたら他にも特別な能力を持っている可能性もあるが、使う必要がなかったのか、はたまたそういった痕跡を残すことのない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ