第4章〜眠りし魂達の覚醒〜 第43話
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わ。」
「……霧が発生したのは今日の明け方くらいになるわ。最初はうっすらとモヤがかかった程度だったけど……みるみるうちに濃くなって視界を遮るほどになったの。」
「どういう原因で発生したのか現時点では分かりませんか?」
アイナの説明を聞いたクロ―ゼは不安そうな表情で尋ねた。
「ええ、今のところは。ロレント市の全域を覆っているのは確かですが……」
「霧にも色々種類があるからな。沖合いで発生して海岸に流れてくるものもあれば、盆地で発生するものもある。」
「ふむ……王都地図を見るとロレントは盆地にあるようだね?」
ジンの話を聞いて頷いたオリビエはアイナに確認した。
「ええ、どちらかと言うと。単なる自然現象である可能性も否定できないわね。」
「どちらにせよ……警戒はした方がいいみたいね。ボース行きは中断してこのままロレント地方で様子を見た方がいいんじゃないかしら?」
「その方が良さそうだな。どのみち霧が晴れるまでは定期船も動かねぇみてえだし。」
シェラザードの提案にアガットは頷いて答えた。
「あ……その……」
その時、エステルが遠慮気味な様子で口を開いた。
「ママ?」
「なんだ、エステル?」
エステルの様子にミントは首を傾げ、アガットは尋ねた。
「例の空賊事件はどうするのかなって……」
「そいつは元々、他に手がかりがなさそうだから調べてみようって話だっただろ?調査自体は王国軍がやってるし、俺たちが無理に行く必要はねぇだろ。」
「で、でも……」
「……なんだ。気になることでもあるのか?」
様子がおかしいエステルにアガットは目を細めて尋ねた。
「あ、ううん……。そういうわけじゃないんだけど。でも……あたし……」
「……エステル。あんたの心当たりが何なのかは知らないけど……少し冷静に考えてみなさい。」
「え……?」
シェラザードの指摘にエステルは呆けた。
「空賊艇の奪還事件はある意味、終わった事件よ。人質が取られたのならともかく、ギルドが動く緊急性もない。そもそも空賊がボース周辺に留まっている可能性も低いしね」
「そ、それは……」
「一方、こっちの異常現象は今、起こりつつある事件だわ。もしも『結社』の仕業だったらさらに何か起きる可能性もある。ロレントはリウイ皇帝陛下や師匠を初めとする、強者揃いが住むメンフィル大使館があるとはいえ、基本、国内の事情に関しては不干渉。さあ……どちらを取るのが正しいの?」
「………………………………………………………………」
「……エステルさん。」
シェラザードに選択を迫られ黙っているエステルをクロ―ゼは心配そうな表情で見ていた。
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