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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十七話 機会
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であろうと抜擢します。私を見れば明らかでしょう。その実力を元帥閣下に証明する機会を提供しようと言っているのです」
「……」
機会、何度も欲しいと思った機会が此処にある……。
「此処から先は貴方達の問題です。協力し合って武勲を上げ、より大きな権限と地位を得るか、それとも足を引っ張り合って自滅するか、好きなほうを選んでください」
「……」
より大きな権限、より大きな地位……。
「この話そのものに納得がいかないと言うのなら、この部屋から出て行ってもらって結構です。代わりの人を呼びます」
「……」
代わりの人……。駄目だ、譲れない、これは俺の得た機会だ。周りを見た、誰も出て行こうとしない。そうだろう、皆同じ気持ちのはずだ。
なぜ俺が辺境警備でシュターデンが宇宙艦隊司令部に居る? 俺がシュターデンに劣るのか? そうじゃない、奴はブラウンシュバイク公爵家に近い。それが理由だ。軍人としての能力の問題じゃない。
「此処にいると言うのであれば、編制分けをします。司令官二名は先任順でケンプ、クレメンツ両少将にお願いします。先ず最初に、ケンプ少将を司令官として、ルッツ少将、ファーレンハイト少将、レンネンカンプ少将で一個艦隊を編制してください」
「さらに、クレメンツ少将を司令官として、ワーレン少将、ビッテンフェルト少将、アイゼナッハ少将で一個艦隊とします」
俺が司令官か。しかし、メックリンガーはどうするのだ?
「メックリンガー少将には、宇宙艦隊司令部の作戦参謀として旗艦ヴィルヘルミナに詰めてもらいます。司令部には偏見を持っている人が居ますからね。ミュッケンベルガー元帥とのパイプ役になってください」
「承知しました」
なるほど、俺たちの代弁者としてメックリンガーを司令部に置くのか。良い案だ、少なくとも使い捨てにされる危険はかなり下がるだろう。
「質問はありますか」
「……」
誰も何も言わない。そうだろう、皆今すぐにでも打ち合わせがしたいはずだ。
「無ければこれで終わります。この部屋は十七時まで借りてあります。この後打ち合わせに使っていただいて結構です。出兵は十月十五日を想定していますので、それまでに艦隊の錬度を上げ、一個艦隊として使用できるようにしてください。訓練、補給等で問題が有れば何時でも言ってください。相談に乗ります。では、これで」
ヴァレンシュタインはそう言うと、部屋を出て行った。本来なら起立して敬礼をしなければならないのだろう。しかし、そんな間を与える事も無くさっさと出て行ってしまった。残された俺たちの方があっけに取られ、顔を見合わせて苦笑した。
「至れり尽くせりだな。せっかくだ、使わせてもらおうではないか」
オレンジ色の髪をした逞しい体格の男が周囲を見渡しながら大声で言った。
「そう
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