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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十七話 機会
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シュタインが絡んでいる? どういうことだ? 先程あったときの会話を思い出す。確かに何か関係しているようだ。

「気付いたか? 此処にいるのは実力はあるが軍主流にいるとは言えない男ばかりだ。おまけに皆若く、平民か下級貴族だ」
メックリンガーが声を潜めて話す。
「……」
確かに若手士官ばかりだ。俺もメックリンガーもむしろ年長者の方だろう。

「今入ってきた男は、カール・グスタフ・ケンプ少将だ」
ケンプ少将は長身でがっしりとした、いかにも軍人と言う風貌の男だった。
「聞き覚えがあるな」
「当然だろう、元は撃墜王として活躍した男だからな」
なるほど、それで聞き覚えがあったか。

ドアが開いてヴァレンシュタインが入ってきた。皆一斉に起立して敬礼をする。ヴァレンシュタインは我々の正面に立つと答礼した。
「楽にしてください。座っていただいて結構です」
柔らかな声に戸惑いながら皆着席する。一体何が有る?

「単刀直入に言います。今度の遠征に貴方達にも参加してもらいます。既にミュッケンベルガー元帥の了承を得てあります」
今度の遠征に参加……、周囲がざわめく。思わずメックリンガーと顔を合わせた。

「今度の遠征の参加兵力ですが、ミュッケンベルガー元帥直卒の一個艦隊、ミューゼル大将の率いる一個艦隊、そして残りは此処にいる貴方達の艦隊を二個艦隊に編成し、計四個艦隊、約五万五千隻を動員することになりました」

“二個艦隊に編成”、“五万五千隻”囁き声と共にどよめきが起こる。しかし、二個艦隊に編成? どうするのだろう?
「質問してよろしいでしょうか?」
太い声で質問したのはケンプ少将だった。

「どうぞ、官位、姓名を名乗ってください」
「カール・グスタフ・ケンプ少将です。我々を二個艦隊に編成とは具体的にどうされるのか、お聞きしたい」
周りも皆顔を見合わせては頷いている。

「此処に集まられた方々を半分に分けます。そしてその中から司令官を選び、残りの方には副司令官と分艦隊司令官を務めてもらいます」
「!」
「無茶だ。そんなこと出来る訳がない」
ケンプ少将の言に皆が同意する。“出来るわけが無い”、“無茶だ”と言う声が上がった。確かにそうだ、同格の人間達のなかでそんな事が簡単に出来るだろうか?

「確かに無茶は承知です」
「ならば」
「ならばどうします。このままでよいのですか?」
このままでよい? 何のことだ? 皆不審そうな表情をしている。

「此処に集まられた方々は、帝国でも一線級の実力の持ち主だと思っています。ただ残念な事に場所を得ていません。その場所を提供しようと言うのです」
「……」
場所を得ていない。確かにそうだ。辺境警備では場所を得ているとは言い難い。

「元帥閣下は実力さえあれば、たとえ平民
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