90話 仇討
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ように切り捨てられるとわかる。紋章が輝いて拒絶している光こそ、この杖こそがトロデーンの国宝の杖で、ドルマゲスなんだとわかる。
『私に従え!』
紋章が、音を立てて砕け散った。光が私に触れる。意識が、染め上げられる。私に従えと声が告げる。陛下や姫を守る、信念で誓った忠誠心ではなく、細胞に、染色体に、DNAに組み込まれた本能が叫んでいる。
お前が主のものか、と。
同時に血が告げている。戦えと、戦えと、血を浴び、命を薄皮一枚で守りぬき、相手の心の臓を奪い取れと。
それには、すんなり納得できた。それこそが剣士たる私の生きる道、私だと。杖を手が勝手に掴む。同時に、私はドルマゲスにめがけて落下した。剣を持ち上げる力が消えていた。……重量何キロかわからない私が、多分ドルマゲスの首の骨を折ったと思う。不可抗力で。エルトが必死で呪いに抵抗してる時に。
「……え?」
分身にすぎないドルマゲスは青い光に包まれ……そしてその光は私をも包み込んだ。
そして掴んでいた杖は、紫の光になって、私の中に吸い込まれていた。どくり、どくりとナニカが波打つ。ナニカはどんどん強くなって……弾けた。
光が私の身体から追い出されていく。口からではないけれど吐き出された杖は目の前にいた。光から再構築されたドルマゲスは残念そうに私を見、次の瞬間には杖を掲げて凶悪な力を溢れさせ、人ならざる者にならんと呪術を実行していた。
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