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魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
110話:『星々(れきし)』(中編)
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だけど、自分の心に負けることだけはするなよ』


 だからこそ身体だけじゃない、心も鍛えておかなければならない。
 力だけでは足りない、優しさを、思いやりを。間違った道を進まない為の、正しく鍛えられた心が必要なんだ。


『負けるなよ、自分自身に』
「―――はい!」


 その返事を聞いた男性は、小さく笑みを浮かべる。
 そして敬礼のようなポーズをし、「シュッ」と言った。彼独特の挨拶のようなものだ。

 男性が光に変わり、赤い宝石に消える。炎≠ェ灯ると同時に、空間(そら)に星が灯る。
 人の強さの元となる心≠フ強さ、星々の光がそれを主張する。
 他の誰でもない、自分自身の生き方で。自分にしかできないことを、見つけ出せ。心が響いた鼓動を信じて、進み続けよう。

 ―――それが、君の響き。















 手に取ったのは、赤い撥。動きが止まる度に、鈴の澄んだ音が響く。
 そこへ迫る白刃をその撥で受け止める。と同時に、男の体が紫炎に包まれる。

 炎の熱気に驚き、一瞬気が逸らされた。その隙を逃さず、赤い撥で剣を弾き、相手の腹部を蹴る。
 数歩下がったところへ、太鼓を叩くように撥をぶつけた。


「ぐッ―――このぉ!」


 また数歩下がった男は、反撃とばかりに剣を振るう。だが対する男は振り下ろされる剣を撥で受け流し、もう一方の撥で再び腹部を打ち付ける。
 その衝撃に苦悶の表情を浮かべる、が今回は耐えきりすぐさま反撃に一撃、剣を斬りつける。

 思わぬ反撃に男も後退、そこへ更に追い討ちの剣撃が迫る。
 交差させた撥でそれを受け止め、鍔迫り合いのような形に変わる。受け止めた剣の衝撃によって、男を包み込んでいた紫炎が飛び散る。
 そこにいたのは、先程までの近代的な鎧ではなく…

 先程の紫炎と同じ、光沢を放つ紫色の肉体。両腕と顔面の隈取は赤く染まり、胸部には襷状の装飾が、頭部には二本の角が、それぞれ銀色に輝いている。
 自らを鍛え抜き、炎と音を駆使し、人々を迫りくる妖怪(きょうい)から密かに守ってきた鬼≠ニ呼ばれる者達の一人……


 ―――音撃戦士響鬼≠フ姿が、そこにあった。


「俺≠超える…それがお前の目的か?」
「そうだ、そうしなくては、俺は俺≠ナいられなくなる!」


 それなのに、試されていたというのか? あの人達≠ヘお前≠選び、力を与えていると。
 ならば、認められなかった俺≠ヘどうなる? お前の中にずっと閉じ込められるのか? それともお前の中からも消えるのか?


「認められるか…認めてなるものか!」


 その鬼気迫るような発言を聞いて、理解した。
 こいつ≠ノも譲れないもの
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