暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
110話:『星々(れきし)』(中編)
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この…ッ!」
「くッ…!」


 蹴りの衝撃に少し怯むが、それでも体勢を立て直す。両者共に拳を構え、思い切り振りかぶって突き出す。
 二つの拳は交錯し、互いの頬にぶつかる。両者の呻き声が漏れ、二人の間に距離が生まれる。


 突如として変化した姿。白を基調としたものから黒へ、胸部には銀のプロテクターに黄色の大きな複眼。体の所々に赤いラインが走っている。
 逃れられない戦いも、過酷の運命も自ら背負い、戦い抜いた戦士……


 ―――救世主、ファイズ


「ファイズまで…ッ!」


 殴った右手を軽く振り、構えなおす男に悪態をつく。


「何故お前ばかり…ッ」
「なんでお前≠ヘ、そこまでして…」


 男の問いに、「そこまで、だと…?」と声を上げる。


「俺≠フ存在理由……お前≠ニなり、世界を破壊することが、俺が生み出された意味≠ェ、そうさせるんだ!」


 お前を捉えた奴らはお前のデータを元に、この世界の技術を応用し俺≠作り上げた。
 俺≠ヘお前≠ニなり、世界を破壊する。その為だけに作られた俺は、それ以外できることはない。


「俺≠ニいう存在が生き残るには、お前≠超えなければ―――」


 ならないんだ! そう叫ぶように言うと、再び剣を構え走り出す。
 対しそれを見た男は、両手を後ろへ回す。

 そこには炎の柱が二本。それを掴むと、シャンッという澄んだ鈴の音が心の中まで響いた。















 大きく見える背中、その奥には光る星々。
 腕を組んでいたその男性は、振り返りこちらを見つめてくる。相変わらずボンヤリした顔だが、彼が誰なのかはわかる。


『嫌なことや、不幸なことはいつだって起きるもんだ。しょうがないよね、現実ってやつはさ』


 でもそれをそのまま「嫌だ」と言い続けるか、「不幸だ」と嘆き続けるか。


『君はどうかな?』
「…戦う、と思います。そんな現実、受け入れたくないですから」
『そうかそうか』


 でもそれは、とても大変なことだ。嫌だからと言って、簡単に変わる物じゃない。すごく辛い出来事が起きるかも……


『だけどその出来事が、君に経験をくれる。それがあれば、これから辛くならないようにできる筈だ』


 辛いことなんて、これから先たくさんあるだろう。一人じゃどうしようもない時だって、いつか必ず来る。
 でも、落ち込む奴は強く成長できる。下を向いて止まった奴は、きっと前を向いて走り出せる。

 そんな奴なら、どんな困難も乗り越えられる。一人では無理でも、仲間と一緒なら必ず。


『乗り越えるのが難しいなら、一回下がってみるのもいいかも。
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