第34話
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ガットの方はどうだった?」
アガットとエルナンに感心されたエステルは苦笑した後、アガットに尋ねた。
「正直、どこもハズレでな。大聖堂、ホテル、飛行船公社……どこも脅迫状を送ってきた犯人の心当たりはないそうだ。飛行船公社は、空賊事件みたいに後からミラの要求があることを警戒しているみてぇだが……。今の所、その要求もないらしい。」
「そっか……。結局、犯人の可能性は色々と考えられるんだけど……。『結社』の仕業って可能性はどこまであるのかしら?」
「……何とも言えませんね。これまでの事件を見る限り、彼らは今のところ『ゴスペル』の実験以外の活動はしていません。そして、『ゴスペル』は普通では考えられない現象を引き起こすことが分かっています。」
エステルの言葉にエルナンは真剣な表情で頷いた。
「フム、その意味で今回の脅迫事件は確かに毛色が違っていそうだね。」
「現時点で、結社の関与を示す兆候は見られないってことだな。」
「うーん……。警戒のしすぎなのかしら。」
オリビエやジンの意見を聞いたエステルは悩んだ。
「いえ、警戒しておくに越したことはないと思います。とりあえず、今できる調査は全てやったと考えていいでしょう。皆さんの報告は、私の方でレポートとしてまとめておきます。明日、それをエルベ離宮にいるシード中佐に届けてもらえますか?」
「うん……。結局、犯人は分からなかったから申しわけないけど、仕方ないよね。そういえばアガット。レンちゃんの方はどうだった?」
エルナンの言葉に頷いたエステルはレンの事で何か進展があったのかをアガットに尋ねた。
「そっちは幾つか判ったことがある。まずはホテルだが……あの子と両親は4日ばかり王都に滞在していたようだな。その間、ずっとホテルの同じ部屋に泊まっていたらしい。で、今朝、チェックアウトしたそうだぞ。」
「なるほど……」
「次に大聖堂だが……。滞在中、何度か大聖堂に礼拝に来ていたみたいだな。で、応対した司祭が言うには両親の様子が変だったそうだ。礼拝中、上の空だったらしい。」
「ヒルダ夫人の話と同じですね。」
「うん……」
アガットの話を聞き心配そうな表情のクロ―ゼの言葉にエステルは頷いた。
「最後に飛行船公社だったが……。……実はな。見つからなかったんだ。」
「へ……何が?」
けげんそうな表情のアガットの話にエステルは首を傾げた。
「クロスベル出身のヘイワーズ夫妻とレン………ここ半年くらいの乗客名簿には該当者が見当たらなかったんだ。」
「ええっ!?」
「フム……ミステリーだね。となると、陸路を通ってリベールに来たということかな?」
「いや………さすがにそれはありえないな。クロスベルとリ
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