第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
シカマル
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な天気であったし、テマリの風の余波もあってそれはゆらゆらと空中に浮かんでいる。
「逃がすかよッ」
空中に浮かぶ己の衣服で影の表面積を更に増やすことに成功したシカマルはするすると影を伸ばしてテマリを追っていく。それを避けながら跳んでいくテマリが、最初にシカマルの投擲した起爆札つきクナイの跡地と跡地の間に着地した時点で、衣服でつくったパラシュートは地面に落ち、影が戻っていった。
ただし自分の衣服を使ってしまったシカマルにはもう代替品がない。これまでだ。思いながらテマリは巨大な扇子を振って立ち上がった。
これ以上長引かせると森は影で覆われてしまい、こちらには不利になるばかりだ。ここは分身の術で陽動作戦を行った方がいいだろう。
――いま、奴の影は……よし
シカマルの影が縮んでいくのを確認しながら印を結ぶ。
――分身の……ッ
術は、発動できなかった。
――ばかな……!?
体が動かなかった。どんなに力を込めてもびくとも動かないこの体は傍から見れば予選のキンそっくりなのではないのかと、どこか冷静な部分がそう考えた。
「ようやく、影真似の術成功」
――なにッ!?
影真似の術? だってシカマルはパラシュートの影をつかってでもここには届かなかったじゃないか、なのにどうして。しかも自分の前方にさえ影は見えないのに。
にや、と笑ったシカマルが頭を捻った。
「後ろ、みしてやるよ」
振り返ったその先にあったのは、最初にシカマルが起爆札つきのクナイであけた穴の一つと、そしてその中から伸びる影だった。
「――!!」
そしてその影は、テマリの前方に空けられたもう一つの穴と繋がり、テマリを確実に地面に縫いとめているのだった。
「お前も見てただろ。最初に俺の逃げた起爆札つきのクナイのうち二本が穴を開け、そして次に投げたクナイはお前の風で外れて穴の中に転がり落ちた……つまりパラシュートを利用したあれは、お前を捕まえるって以外に、そこに追い込むって理由もあったわけだ。万が一それが避けられた場合用にな」
「まさか……穴の中の影を」
「ご名答」
穴の中と来たら、その中にはほぼ影しかない。よって彼の術の範囲も更に拡大できるのだ。
シカマルの動作に合わせて、テマリが扇子を掴み、そして前に放る。それを確かに受け止めたシカマルがニヤリと笑ってみせた。けれどそれは虚勢でしかない。テマリの暴風を何度も受けて体は擦り傷だらけだし、影真似に使用したチャクラももうそろそろ消える頃だ。二百くらいの戦略が浮かんで、消えたが、それを達成できる条件は「チャクラがもっとあった場合」に限った。
――残った方法といえば、扇子を投げつけるとか……
「シカマル、影真似といて!」
不意に聞こえた声に
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